デンマーク主要空港にドローン飛来、今週2回目-ロシア関与を調査
デンマークの地方空港5カ所に大型ドローン(無人機)が飛来し、運航に一時混乱が生じた。同国の重要施設上空でドローンが目撃されたのは今週に入り2回目。当局はロシアが関与した可能性を調べる一方で、北大西洋条約機構(NATO)としての対応を協議している。
5カ所とも、現在は運航を再開している。警察は大がかりな捜査に着手した。
デンマークのポールセン国防相は25日朝にコペンハーゲンで行った記者会見で、ドローンは「ハイブリッド攻撃」だと指摘し、この対応でNATO加盟国をどう関与させるか政府として協議すると説明。「偶然では全くない。組織的であるように見える」と語った。
22日夜には北欧で最も利用者の多いコペンハーゲン空港に大型ドローンが飛来し、同空港は4時間にわたり閉鎖に追い込まれていた。デンマークの重要インフラに対する「深刻な攻撃」だとフレデリクセン首相は警戒感をあらわにし、ロシアが画策した可能性を示唆した。
同首相は24日、「深刻な状況」についてNATOのルッテ事務総長と会話し、NATOがデンマークと「安全を確保する」措置で協力することに合意したと、X(旧ツイッター)への投稿で明らかにした。
デンマーク政府は、国内で最も重要なインフラの上空を無許可のドローンが何時間も妨害されずに飛行することを許したとして厳しい批判を浴び、当局がなぜ早期にドローンを検知できず、阻止や撃墜などの措置をとらなかったのか問われている。
同国警察は24日、全土に対する警戒水準を「高度」に引き上げ、一段の事案発生に備えていると、警察幹部が現地放送局のDRに明らかにした。
ポールセン国防相はドローンの数と規模、複数の場所に同時に現れたことを挙げ、プロの仕業だと主張。「デンマークのウクライナ支援を弱めることに関心を持つ国や関係者が存在する」と述べた。それでも、「ロシアとの直接的な関係を示す根拠は得られていない」と付け加えた。
警察の発表文によると、デンマーク第3のオールボー空港では3カ所の小規模な発着場でドローンが確認されたため、24日深夜に運航を一時停止。民間の個人が操作するような娯楽目的のドローンではないという。ドローンは3時間余り空港上空を旋回していたが、現地時間25日午前1時前に姿を消したと警察は説明。同空港の空域閉鎖を受けて、4便が迂回を余儀なくされたと、広報担当者が現地メディアに語った。
同国第2の規模を持つビルン空港もドローンとみられる物体の報告を受け、25日早朝に一時閉鎖された。TV2が警察の情報として報じた。
さらに、エスビャウ空港、セナボー空港、戦闘機の整備に使われるスクリュズストロプ空軍基地でもドローンが確認された。警察の発表によると、これらの小規模な空港では夜間の定期便はなかった。
デンマークはウクライナを最も強力に支援している国の一つで、大量の軍備品や復興資金を提供してきた。6月には他国に先駆け、国内にウクライナ軍事産業が拠点を構えることを許可する合意を結び、デンマーク政府は今月、同国でウクライナ企業がロケット燃料の生産を開始すると発表していた。
警察によれば、デンマーク当局は軍や情報機関と協力して「集中捜査」を開始した。ホメルゴー法相は、対ドローン防衛能力構築に向けた新たな投資を政府として行い、国内におけるドローン使用を制限するよう法を改正する意向を示した。
ポールセン国防相は、デンマークがNATO第4条の発動を検討していると表明。発動されれば加盟国の緊急協議を招集し、NATOとして協調した行動を取る道が開かれる。
また、NATOを関与させる他の手段についてもデンマークは検討しており、ドローン問題について既にNATOと協議を行っている。
欧州委員会のクビリウス委員(防衛担当)は24日、ユーラクティブとのインタビューで、欧州連合(EU)は来年のうちにドローン検知能力を増強することが可能だが、脅威を完全に監視・破壊できる体制を整えるにはさらに時間が必要だと述べていた。
原題:Denmark Investigates Russia in Second Drone Attack in a Week (1)(抜粋)