名人戦第4局 藤井名人3連覇か、永瀬九段粘るか 82手までの指し手

第83期名人戦第4局の千日手指し直し局、対局を進める(左)藤井聡太名人、(右)永瀬拓矢九段=大分県宇佐市の宇佐神宮で2025年5月18日、吉田航太撮影

 大分県宇佐市の宇佐神宮で18日に始まった藤井聡太名人(22)と挑戦者・永瀬拓矢九段(32)の第83期名人戦七番勝負第4局(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛、九州電力、QTnet協力、宇佐商工会議所地元主催)の千日手指し直し局は熱戦が続いた。

 午後8時40現在、82手まで進んだ。

名人戦第4局指し直し局 図は82手目・後手3五香まで

指し手 [先]永瀬 [後]藤井

<1>2六歩  (2)8四歩

<3>2五歩  (4)8五歩

<5>7六歩  (6)3二金

<7>7七角  (8)3四歩

<9>8八銀  (10)7七角成

<11>同 銀  (12)2二銀

<13>4八銀  (14)3三銀

<15>3六歩1 (16)6二銀

<17>3七銀  (18)7四歩

<19>7八金  (20)7三銀

<21>4六銀  (22)9四歩

<23>9六歩  (24)6四銀

<25>1六歩  (26)1四歩

<27>6九玉1 (28)7五歩15

<29>同 歩  (30)同 銀

<31>2四歩  (32)同 歩

<33>2五歩  (34)8六歩2

<35>同 歩8 (36)同 銀1

<37>5五角7 (38)6四角

<39>8六銀12 (40)同 飛30

<41>8七歩16 (42)8二飛3

<43>2四歩3 (44)2二歩

<45>6四角63 (46)同 歩

<47>5九玉4 (48)4四銀18

<49>9五歩55 (50)同 歩20

<51>7三歩28 (52)5四角8

<53>7二銀8 (54)同 金1

<55>同歩成1 (56)同 飛

<57>8三角6 (58)7三飛18

<59>7四金8 (60)8三飛5

<61>同 金3 (62)7一銀2

<63>5六歩40 (64)3六角14

<65>3七銀3 (66)6三角7

<67>8六歩55 (68)8二歩7

<69>8四金5 (70)6二銀

<71>8五金3 (72)2七角打21

<73>6八金13(74)5四角引成6

<75>5八飛  (76)4二玉4

<77>1五歩5 (78)3一金1

<79>9五香8 (80)同 香1

<81>同 金  (82)3五香12

6年ぶりの千日手

 藤井名人が開幕から3連勝し、3連覇に王手をかけて迎えた第4局だったが、17日の対局は、名人戦では6年ぶりとなる千日手(引き分け)で終わった。このため18日午前9時から、手番を入れ替えて、永瀬九段の先手番で初手から指し直した。

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 指し直し局は角換わり相早繰り銀の戦いになった。相手の飛車の利き筋(8筋)に近寄る永瀬九段の6九玉(27手目)が珍しく、用意の作戦だったとみられる。藤井名人は15分の考慮を払い、7五歩と戦端を開いた。一手のミスが勝敗に直結しかねない急戦のため、2人とも慎重に時間を使って指し進め、62手まで進んだところで午後5時から30分間の休憩に入った。

 夜戦になり、藤井名人は3六の角を4七角成として馬を作れるところを見送り、6三角と引いた。8三にいる永瀬九段の金を捕獲する狙いがあり、控室の評判は藤井名人有利に傾いていった。

 永瀬九段は勝負手を放つしかないと見られたが、67手目に55分長考して指したのは、8六歩とじっと歩を突いて8三の金を助ける手だった。

 解説の深浦康市九段は「終盤は名人が優勢に進めているが、永瀬九段は気持ちを切らさずに指し続けている」と戦いを見守った。【新土居仁昌、丸山進】

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