日本経済はなぜドイツに抜かれた!?池上現地取材で知る「日本の常識は世界の非常識」(テレビ朝日系(ANN))
日本への渡航自粛やイベントの中止など、日中関係は急速に冷え込んでいます。そんな中国ではどんな「常識」があるんでしょうか。 日本では働き方改革が進んでプライベートを大切にする人が増えてきたと言われていますが、まだまだ仕事が大事!という人も多いですよね。では 立場が上の人の意見を大事にしそうなイメージがある中国ではどんな働き方をしているのでしょうか。 中国では仕事を優先、残業は当たり前、という人がまだまだたくさんいました。でもそんな中上司との関係についてはこんな意見も。 上司と部下は友達のような距離感の人が多いそうです。なんか日本とはだいぶ違いますね。 そんな中国で今問題になっているのがタンピン主義、というものです。 タンピン主義、と聞いて「タンヤオ・ピンフ!」と思った方もいるかもしれませんが残念ながらそうではありません。漢字から想像がつくかもしれませんが、「寝そべる」「横たわる」という意味です。 結婚しない、お金も使わない、最低限しか働かない、とにかく寝ていればいい、「頑張っても報われないなら何もしない」という生き方を選ぶ若者が増えているといいます。 私は最近台湾に行ってきました。そこで驚いたのは台湾の中でこのところ中国政府寄りの人を作ろうという動きが広がっていることです。中国政府からしてみれば、いわゆる武力を使った形ではなく、台湾の人たちから自主的に中国と一つになろう、と言ってくれれば一番いいわけです。そういった世論を作ろう、そういう動きに今はなっているんです。長期的にはそれも狙っているということですね。
アメリカ、というと食事がなにかと「ビッグサイズ」のイメージありませんか?大きなハンバーガーに山盛りのポテト、そんな映像をよく見ます。 でも最近はミニサイズがいろいろな店で登場しているんです。一体なぜでしょうか?実は今アメリカでは肥満に使うという治療薬が何種類も登場し、人気となっているんです。こうした薬の影響で食欲が減退し、たくさん食べられない、そんな人が増えているそうです。 ただ、この薬を医師との相談なく多用すると問題もあるそうです。 急激に痩せすぎるとしわが増えたりげっそりとしてしまいます。若々しく見せたい、と脂肪注入やリフトアップの整形も増えているそうです。 なんだか日本の常識とは違いますね。 そんなアメリカの働き方は日本とは大きく違います。 まずアメリカには日本では当たり前の「新卒一括採用」はありません。アメリカでは大学在学中は勉強に専念し、卒業後に就職活動をする人が多いんです。もちろん新卒で就職する人も中にはいますが、企業の側に「新卒枠」というものはありません。新卒既卒関係なく、「欲しい人材を欲しい時に取る」という通年採用が一般的です。世界で比べてみても、これだけ新卒採用が多い日本というのは珍しいんですね。 さらに新卒採用がない、ということでアメリカには定年がありません。 実は定年制というのも先進国では大変珍しいんです。これは「定年」はもともと日本独特の「年功序列」「終身雇用」に伴って生まれた制度のため。だからほかの国にはないんです。いつクビになるかもしれないけど定年のないアメリカの働き方と、簡単にクビにはならないけど定年のある日本、どちらが働きやすいのか、考えてみるといいかもしれません。
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そして今回私はドイツのベルリンに取材に行ってきました。 ドイツは日本と同じくらいの面積ですが人口は1億人に満たない国です。しかしGDPでみると世界3位。日本より人口が少ないのに上なんです。 つまりドイツは日本に比べ「生産性が高い」というわけです。 では一体ドイツとはどんな国なのか、見ていきましょう。 ベルリンといえば「ベルリンの壁」です。街のあちこちには敷石で線のようなものがあります。これは壁の跡です。 ベルリンの壁、というと東西ドイツを分ける壁のようなイメージがありますが、そもそもベルリン自体はすっぽりと東ドイツの中にありました。 西ドイツから見ると西ベルリンは飛び地です。なのでベルリンの壁、というのは西ベルリンをぐるっと囲む形で立っていたんですね。 ベルリンには東ドイツ時代の名残があちらこちらにあります。たとえばこの歩行者用信号。日本とはちょっと違う、かわいらしいイラストが使われています。これは「アンペルマン(信号男)」と呼ばれ、今ではベルリン全体で使われています。グッズもたくさん売られるほどの人気キャラクターに成長しました。 そんなドイツの生産性が高い理由の一つに中小企業の存在があります。 日本とドイツの中小企業はちょっと違います。日本もドイツも中小企業に支えられているというのは変わりありませんが、日本ではまだまだ大企業の下請けが多いというイメージがありませんか?でもドイツは違います。この数字を見てください。 直接海外へ輸出を行う中小企業の割合を見てみると、日本は21%程度なのに対し、ドイツはなんと70%近くとなっています。もちろん立地の違いはありますが、3倍以上、というのはかなり大きな差異です。 自分たちで生産、輸出まで行いますから買いたたかれることもなく、利益を大きくあげることが可能です。つまり生産性も高くなる、というわけです。 高い技術のモノを安く、ではなく高品質なものを高価格で売る、それが今うまくいっているというのがドイツなんですね。日本の中小企業も技術は大変高いですから、こういった成功例は参考になるかもしれません。 こうして海外の様子を見ていきますと、日本も意外といいじゃないか、とかここは学ぶべきだな、と思うこともたくさんありますよね。たまには世界に目を向けて新たな発見をしていただければと思います。 (池上彰のニュースそうだったのか!!12月13日OAより) 韓国・中国・イギリスなどもっと詳しい池上解説はTVerへ!!
テレビ朝日