心理学の権威がアダルトサイトの「数十億件のデータ」を分析して判明…女性が検索していた"衝撃のキーワード"(プレジデントオンライン)

人間の「性的な妄想」には、どのような意味があるのか。イェール大学心理学名誉教授のポール・ブルーム氏の著書『苦痛の心理学』(草思社)より、一部を紹介する――。 【この記事の画像を見る】 ■Pornhubをビッグデータ解析した結果  性的な想像については、以前よりもはるかに理解が進んだ。それはビッグ・データのおかげでもある。特に、ポルノグラフィックなウェブサイトで人がどのような検索をするか、ということについて大規模な分析調査が行われたことが重要だ(※1)。こういうことはアンケート調査をするわけにもいかない。仮にアンケートをしたとしても、恥ずかしいので正直には答えず、嘘を答える人が多いはずだ。だが、皆がどういうポルノグラフィーを選んで見ているかがわかれば、どういうもので興奮する人が多いかをかなり正確に知ることができるだろう。  利用できるデータ・ソースはいくつもあるが、最大なのは、ポルノグラフィー・サイト“Pornhub”の何十億件という検索記録である。それを見れば、人々が何を好んで見ているのかだけでなく、若年層、中高年層の違い、ゲイとストレートの違い、男性と女性の違いなどもわかる(この種のサイトは、グーグル・アナリティクスを利用して、訪問者一人一人の人格特性を非常に正確に把握しているのだ――そう知ると驚く人もいるだろう)。  検索上位の語句を見てみると、だいたいは多くの人の予想通りである。ほとんどは、その人たちが現実の生活でも見たい、あるいは体験したいであろう身体的特徴、身体の部位、性的な行為の名前である。想像の世界は「簡易版の現実世界」であるとする説を裏づけるようなデータと言えるだろう。想像を現実の代替物にしているわけだ。 ■検索上位の「意外なキーワード」  だがよくわからないこともある。たとえば、アニメのポルノグラフィーの人気が非常に高いということだ(※2)。セス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツは、フロイト的に子供時代に抱えた強迫観念のせいではないか、と推測している。男性の間で「ベビーシッター」が人気のキーワードになっているのもその証拠ではないかという(だがこれは、単にポルノグラフィーを見る男性の一部にとって、身近によく接する若い女性がベビーシッターなだけ、という可能性もある。よく接するから妄想の対象になりやすいということだ)。  近親姦に関するキーワードもある。スティーヴンズ=ダヴィドウィッツが調査した時、Pornhubの検索キーワードのトップ100のうち、16は近親姦に関するものだった。特に多く検索されたトピックは母と息子の近親姦に関わるものだった。女性の場合は、検索キーワードのトップ100のうち9つまでが近親姦関係で、最も多く検索されたトピックは父と娘の近親姦に関わるものだった。  ※1: 『性欲の科学:なぜ男は素人に興奮し女は「男同士」に萌えるのか(坂東智子訳、CCCメディアハウス、2012年)』Ogi Ogas, Sai Gaddam, and Andrew J. Garman, A Billion Wicked Thoughts(Penguin,2011),『誰もが嘘をついている:ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性(酒井泰介訳、光文社、2018年)』Seth Stephens- Davidowitz and Andres Pabon, Everybody Lies: Big Data, New Data, and What the Internet Can Tell Us About Who We Really Are(Dey Street, 2017). ※2: 『誰もが嘘をついている』Stephens-Davidowitz and Pabon, Everybody Lies.


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■映画の暴力は過激になりやすい  現実に近親姦を望む人がそれだけ多いということなのだろうか。おそらくそうではない。高齢の男性が無理矢理に、ということはあるが(その多くは継父で、実子ではない子を襲う)、親や兄弟姉妹、息子娘に性的魅力を感じる人が多い、という証拠はほとんどない。やはり近親者を性的対象とすることに関するタブー意識は強いようだ。何事にも例外はあるので、近親姦を望む人は皆無ではないだろうが、非常に少ないのは確かだ。スティーブン・ピンカーは「ティーンエイジャーの兄妹や姉弟たちが公園や車の後部座席で密会するなどということはまずない」と言っている(※3)。  どうやら現実にほしいものの代替物を求めている、というだけではないらしい。想像上の喜びは安全だが、安全なものは退屈になってしまうことがある。誰かが私のオフィスに来て、目の前で拳銃を振り回したとしたら、それはあまりに恐ろしいことだ。しかし、映画の中で誰かが拳銃を振り回したとしても、それだけでは退屈かもしれない。慣れてしまっているからだ。退屈にならないよう、映画の暴力は非常に激しいものになりやすい。  同じような「慣れ」はポルノグラフィーにもある。まだ性的経験もないティーンエイジャーであれば、魅力的な人が口にキスをしてくる、というだけでも興奮するだろうが、ポルノグラフィーを見すぎている人は、過激な描写を求めることがある。この本を家族で読む人もいると思うので、「過激な描写」が具体的にどのようなものかはあえて書かない。 ■なぜ「近親姦ポルノ」は人気なのか  近親姦ポルノはおそらく、それがタブーであり、不穏当で衝撃的だからこそ人気があるのだと思う。ありきたりなポルノに飽きた人たちがより強い刺激を求めて興味を持つのだろう(実際に見られているものの多くは、家族とはいえ血のつながりのない人どうしのポルノであることにも注目すべきだ。確かにそれもタブーかもしれないが、血のつながった人どうしよりは自然だろう)。  同様のことは、流出映像、リベンジ・ポルノ、隠しカメラによる映像などにも言える――いずれも、映っている本人が撮影や公開に同意していないか、撮られていることを知らない映像だ。こうした映像を不道徳という理由で見ない人がいる一方、不道徳だから、禁じられたものだからという理由で興味を持つ人もいるのだ。  ※3: 『心の仕組み(椋田直子、山下篤子訳、筑摩書房、2013年)』Steven Pinker, How the Mind Works(Penguin UK, 2003), 455.

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