新型エルグランドはアルファードを超えたか!? 第3世代e-POWER&電子制御ダンパーなど魅力満載だが、本当の“買い”は果たして? 【新型エルグランド 徹底比較】

日産 エルグランド トヨタ アルファード 日産 エルグランド トヨタ アルファード

両車のボディサイズはほぼ同じだが、全幅と全高は新型エルグランドの方がわずかに大きい。とくに全幅は1850mmを超えるため、マンション住まいのユーザーは駐車場のサイズ制限に注意が必要だ。

エクステリアデザインは、押し出し感が強いアルファードとは方向性が全く異なるスッキリとしたテイストにまとめられている。とくにボディサイドの造形は、曲面を効果的に使ったアルファードと、直線主体でまとめ上げられたエルグランドでは対照的と言えるだろう。

新型エルグランドのボディカラーはモノトーンの4色と、プレミアム2トーンの合計5色が設定され、2トーンはボディサイドのプレスラインで色が塗り分けられる特別感あふれたオプションカラーだ。対するアルファードも2026年6月の改良で、より深みのある落ち着いたトーンの“ニュートラルブラック”の新色が追加されている。

室内空間はボディサイズが近いだけあって、アルファードとおおむね同等の広さを確保しているうえ、車内機能でもアルファードに対して劣る部分はない。新型エルグランドの3列目シートは、旧来の床下収納から跳ね上げ式に変わり、テールゲートの開閉スイッチはアルファードと同じくボディ側方にも備わる。

快適性や利便性においても、新型エルグランドの2列目シートにはシートヒーターやシートベンチレーション機能、電動オットマンが備わるなどアルファードに劣らない。それどころかアルファードでは廃止されてしまった助手席のオットマンや、100V電源が後席と荷室に合計3口備わるなど、アルファードを超えている部分もある。

なお、新型エルグランドの乗車定員は全グレード7人だ。アルファードの乗車人数も7人が基本だが、PHEVモデルは6人となり、改良で新たに追加されたハイブリッドの廉価グレード“G”は8人乗りが選択できる。

日産 エルグランド G e-4ORCEボディサイズ=全長4995mm×全幅1895mm×全高1975mmホイールベース=3165mm車両重量=2440kg

タイヤサイズ=235/60R18(前後)

トヨタ アルファード Z(ハイブリッド 2WD)ボディサイズ=全長4995mm×全幅1850mm×全高1935mmホイールベース=3000mm車両重量=2160kg

タイヤサイズ=225/60R18(前後)

燃費はアルファードに及ばず! しかし洗練度ではエルグランドが優位

日産 エルグランド トヨタ アルファード

アルファードのパワートレインは、最高出力190psの2.5L 直列4気筒エンジンと最高出力182ps/270Nmのフロントモーターを効率よく使い分けるシリーズパラレルハイブリッド“THS-II”だ。

一方、新型エルグランドに搭載されるエンジンは、アルファードよりも自動車税区分が2ランク低い1.5L の直列3気筒ターボエンジンとなる。ただし、新型エルグランドは最高出力205ps/最大トルク330Nmのフロントモーターと、136ps/195Nmのリアモーターで常時走行するシリーズハイブリッド4WDの“e-POWER e-4ORCE”であり、エンジンスペックは動力性能に直接影響しない。

システムトルクはエルグランドの方が高いが、車重が300kg近く重いこともあって加速性能に大きな差はないだろう。ただし燃費性能の違いは明確に数値で表れる。

新型エルグランドのWLTCモード平均燃費は16.8km/L(G e-4ORCE)であり、アルファード2WDモデルの18.0km/L(Z ハイブリッド)には及ばない。なお、最高出力54ps/最大トルク121Nmのリアモーターが追加されるアルファードのE-FourでもWLTCモード平均燃費は17.4km/L(Z ハイブリッド)だ。

絶対的な燃費性能ではアルファードが優れる。しかし大きな車重差があるうえ、駆動方式が異なるにもかかわらず、これほどの僅差となった事実はエルグランドの進化ぶりを如実に物語る。

新型エルグランドに搭載された第3世代e-POWERの特徴は、主要部品を一体化した5in1構造の電動ユニットに発電特化型エンジンを組み合わせることでシステムの小型化・高効率化を図りながら、振動やノイズの発生を抑えている点だ。

さらにe-4ORCEは悪路での走破性を高めるだけでなく、モーターの素早い応答性を姿勢制御に活用して不快な揺れを抑えてくれる。アルファードにも高度な“ばね上制振制御”が組み込まれるが、ハードウェアとしては大トルクを扱えるe-4ORCEのほうが優位だ。

さらなる決定的な違いはサスペンションにある。アルファードは改良で微細な路面凹凸による振動の収束性に優れる周波数感応型ダンパーが新採用されたが、新型エルグランドには電子制御ダンパーが奢られる。

第3世代e-POWERと電子制御ダンパーを備えたエルグランドは、走行性能でもアルファードを上回るプレミアム性を備えたクルマと言ってよいだろう。

日産 エルグランド G e-4ORCEエンジン形式=直列3気筒ガソリンターボエンジン+モーター排気量=1498cc最高出力=140ps/5000rpm最大トルク=228Nm/3600rpmトランスミッション=単速

駆動方式=4WD

トヨタ アルファード Z(ハイブリッド 2WD)エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター排気量=2487cc最高出力=190ps/6000rpm最大トルク=236Nm/4300-4500rpmトランスミッション=電気式CVT

駆動方式=2WD(FF)

高性能な新型エルグランドを前にしても、揺るがないアルファードの価値性

日産 エルグランド トヨタ アルファード

新型エルグランドは、先進運転支援システムや静粛性でもアルファードに引けを取らない。“G e-4ORCE”グレードには渋滞時ハンズオフ機能付きのプロパイロットが標準で備わり、アルファードの最上級グレードとなる“エグゼクティブラウンジ”でなければ備わらないアクティブノイズコントロールも全グレード標準だ。

そのぶん、新型エルグランドの新車価格はアルファードよりも明確に高く、上級グレードの“G e-4ORCE”の新車価格は757万9000円となる。それに対してアルファード上級ハイブリッドグレード“Z(2WD)”は639万9800円だ。両車には120万円近い価格差がある。

しかも、高速道路でのハンズフリーが可能になる“プロパイロット2.0”は、プレミアム仕様の高遮音ガラスやアクティブノイズコントロールのゾーンコントロール機能などとセットになる73万2600円の高額オプションであり、これを選べばアルファードとの価格差はさらに広がる。

新型エルグランドが優れたプレミアムミニバンであることは疑いようがない。しかし、アルファードのZグレードとは同格と呼んでよいか疑われるほどに高額だ。そしてなにより、優れた性能のクルマが売れるとも限らない。

アルファードは6月の改良で実用グレードの拡充を図っており、ハイブリッドモデルの最廉価グレードとなる“G(581万9000円)”を追加するとともに、PHEVにも“Z(764万9400円)”を追加した。アルファードのPHEVにはCEV補助金85万円が適用されるうえ、PHEVの利便性やモーター走行時の静粛性などを加味すると総合性能はエルグランドに近づく。

そもそも高価なプレミアムミニバンにとって、コストパフォーマンスの良し悪しは些細な問題に過ぎないのかもしれない。重要なのはキャラクターと雰囲気であり、実利面では販売価格よりもリセールバリューが最重要だ。新型エルグランドがどれだけ人気であっても、今まで堅実に積み重ねてきたブランド・イメージから見て、どんなに“残クレ”と揶揄されようとも、アルファードの資産価値が今後も揺らぐことはないだろう。

数年後の売却を前提とするなら、現在でもアルファードは間違いなく手堅い選択となる。しかし、独特のスタイリングや雰囲気、装備やメカニズムに魅力を感じるなら迷わず新型エルグランドを選ぶべきだろう。

車両本体価格

日産 エルグランド G e-4ORCE:757万9000円

トヨタ アルファード Z(ハイブリッド 2WD):639万9800円

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