コロナ検査で叱責された看護師が自殺 パワハラ訴え遺族が病院提訴

 大津赤十字病院(大津市)で勤務していた看護師の女性(当時41)がうつ病を発症し自殺したのは救命救急医のパワハラが原因だったとして、女性の遺族が18日、病院を経営する日本赤十字社に約1億800万円の損害賠償を求めて大津地裁に提訴した。関係者への取材で分かった。

 訴状によると、コロナ下の2021年3月8日、呼吸器内科の看護師だった女性はコロナ感染の疑いがある患者のPCR検査のため、患者を救急外来に連れて行った。感染対策の防護服を着ていたが、手袋をしたまま処置室のカーテンを触ったところ、救急科部長だった男性医師に「何をしているんだ! 感染対策がなっていない」と怒鳴られたという。

 男性医師は「おまえがコロナを広げるんや! 救急は大変なんやぞ」と怒鳴り続けたという。女性が壁際まで後ずさりすると「汚いやろ! 壁に触るな」とも言い、女性が退室する際には感染対策マニュアル映像を大音量で流したという。

 女性は3月11日に精神科を受診。15日以降は欠勤し、4月18日に自宅で命を絶った。遺族の労災申請に対し、滋賀労働保険審査官は24年5月、コロナ対策の負荷と男性医師の叱責(しっせき)という「一連の負担」に起因すると認め、翌月に遺族補償が支給された。

「全身が震え、見るに堪えない状況」

 訴状で遺族側は、その場にいた別の看護師への聞き取りなどをもとに、うつ病の原因は男性医師によるパワーハラスメントだったと主張。過去にも男性医師の言動で精神障害を生じさせた看護師がいたのに、対応を怠りパワハラを容認してきたとして、病院に責任があるとしている。

 女性の夫は取材に「パワハラを受けてから妻は救急車のサイレンを聞くだけで全身が震え、見るに堪えない状況でした。組織の体質や管理体制の問題を明らかにし、再発防止につなげてほしい」とコメントした。

 日本赤十字社は取材に「訴状が手元に届いていないため回答は差し控えさせていただきます」とした。

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