一輪の花のような楕円銀河「NGC 474」 ハッブル宇宙望遠鏡が観測
こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した楕円銀河「NGC 474」。
うお座の方向、約1億光年先にあります。
まるで一輪の花を思わせる、幾重ものシェル(殻)構造が印象的な銀河です。
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が観測した楕円銀河「NGC 474」(Credit: NASA, ESA, and D. Carter (Liverpool John Moores University); Image processing: G. Kober (NASA Goddard/Catholic University of America))】NASA=アメリカ航空宇宙局によると、渦巻腕(渦状腕)が特徴の渦巻銀河や棒渦巻銀河とは異なり、楕円銀河は目立った構造を持たないタイプの銀河です。ただ、楕円銀河の1割にはNGC 474のようなシェル構造がみられるといいます。
楕円銀河でシェル構造が形成される理由のひとつとして推測されているのが、矮小銀河との衝突・合体です。現在私たちは、合体から数億年が経ったNGC 474を観測している可能性が考えられます。
大規模な銀河団にみられる楕円銀河に対して、シェル構造を持つ楕円銀河は比較的何もない空間に存在することが多く、周囲の銀河を取り込み尽くした可能性が示唆されるといいます。
ちなみに、NGC 474の近くには小さな渦巻銀河「NGC 470」があります。数十億年後にはこの銀河が合体することで、さらに複雑なシェル構造がNGC 474で形成されるかもしれないと考えられています。
冒頭の画像はNASAから2022年5月18日付で公開されました。
本記事は2022年5月19日公開の記事を再構成したものです。
関連画像・映像
【▲ 参考画像:ESO=ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTが観測した楕円銀河「NGC 474」(左上)と渦巻銀河「NGC 470」(右下)(Credit: ESO)】文/ソラノサキ 編集/sorae編集部