Googleが「Pixel 10」シリーズのTensor G5チップをSamsungからTSMCに切り替えたことはSamsungにとって「衝撃」だったとの報告

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Google Pixelシリーズに搭載されるGoogleの独自チップ「Google Tensor」は、これまでSamsungのファウンドリが製造を担ってきました。ところが、2025年に登場予定の「Pixel 10」シリーズに搭載されるチップはSamsungではなくTSMCが製造すると見られており、このことは長年Googleとパートナーシップを構築してきたSamsungに衝撃をもって受け止められたと、韓国のメディアが伝えました。

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https://www.thebell.co.kr/free/content/ArticleView.asp?key=202506181426535920105882

Google shift to TSMC for Pixel 10 chip was a 'shock' to Samsung https://9to5google.com/2025/06/18/google-tsmc-pixel-10-chip-samsung-shock-report/

Samsungは長きにわたりアプリケーションプロセッサーの分野でGoogleと協力を続けてきました。2021年発売の「Pixel 6」シリーズから搭載されたTensorチップの製造を担い、世代を重ねても協力を続けてきました。しかし、3nmプロセスチップにおいてSamsungが歩留まりを低下させたことが、GoogleのTSMCへの移行決定に影響を与えたとのことです。

歩留まりは投入した素材に対する完成品の割合を指しますが、報道によるとSamsungの3nmプロセスの歩留まりは約50%であるのに対し、TSMCは90%に達しているといわれています。さらに、半導体設計資産の不足なども重なり、Googleが求める性能や機能が多様化する中、Samsungでは対応できなかった可能性があると、韓国メディアのThe Bellが伝えました。

市場調査機関のトレンドフォスが2025年第1四半期の全世界ファウンドリ市場シェアをまとめた結果、Samsungのシェアは7.7%で、2024年第4四半期(8.1%)から縮小したことがわかりました。一方で同じ期間、TSMCは67.1%から67.6%にシェアを伸ばしており、SamsungはSMIC(6.0%)やUMC(4.7%)など中国企業に追いつかれようとしています。 The Bellによると、SamsungはGoogleの決定に衝撃を受けており、ファウンドリの競争力回復に向けた取り組みに注力しているとのことです。半導体業界の関係者は「Googleを失った点は、Samsungの複合的な問題を示したケースです。内部でも多くの議論と検討が行われていると聞いています」と述べました。

なお、GoogleはPixel 10に搭載される予定のTensor G5でMediaTek製モデム報道が過去にありましたが、新たな報道によるとTensor G5のモデムはこれまで同様Samsung製のExynosシリーズを採用する見込みで、「Pixel 9」シリーズと同じ「g5400」から始まるベースバンドを使用するとのことです。テクノロジー系メディアの9to5Googleは「ExynosモデムはTensor時代におけるGoogle Pixelの熱問題の一因として知られていますが、Exynos 5400はこれらの問題を大幅に改善した点に留意すべきです。Pixel 9シリーズは過去のPixelよりも大幅に冷却性能が向上しており、TSMCへの移行によるTensor G5の他の部分の改善が差を埋める可能性が高いと思われます」と述べました。

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