【詳報】藤井聡太名人「千日手したくなかった」 永瀬拓矢九段に2勝
さあ、勝利への着陸を成功させるのは――。藤井聡太名人(22)=竜王・王位・王座・棋王・王将・棋聖と合わせ七冠=に永瀬拓矢九段(32)が挑戦している第83期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第2局の対局2日目が30日、東京都大田区の羽田空港第1ターミナルで前日から指し継がれる。
研究パートナーでもある両者のタイトル戦。藤井名人は3連覇を、初挑戦の永瀬九段は初の名人位を懸ける。開幕局を制した名人は一気の連勝を、挑戦者は1勝1敗のタイを目指す戦いだ。
藤井名人の先手で始まった戦いは、永瀬九段が準備した待機策によって膠着(こうちゃく)した展開に。1日目午後から千日手含みの変化が続いた。
対局は封じ手開封後、30日午前9時に再開される。正午に昼食休憩、午後5時の夕休憩を経て決着へと向かう見込みだ。立会人は中村修九段(62)、朝日新聞副立会人兼解説者は阿久津主税八段(42)、大盤解説は佐藤天彦九段(37)、聞き手は武富礼衣女流初段(25)、記録係は入馬尚輝三段と吉田響太三段が務める。
第2局2日目の模様をタイムラインで徹底詳報する。
将棋担当記者コラム・北野新太
名人と新入社員の5月
本局の余韻を味わいながら眠りに就き、新しい朝を迎えれば5月である。
今春、大学を卒業して社会人になった人の中には、いわゆる「五月病」に悩む新入社員さんもいることだろう。几帳面(きちょうめん)で生真面目な人ほど、抱え込んでしまうものがあるらしい。
同学年の藤井名人は今年2月、明治安田生命保険の「理想の新入社員」アンケートで初の1位になった。2016年に14歳で社会人になっており、25年はいわば「入社10年目」だが、どこか新人の初々しさを残している印象もある。
七番勝負の開幕前、名人に「新入社員の皆さんにメッセージを」とお願いすると、笑顔のまま印象的な言葉が返ってきた。
「私自身、棋士になってこんなに経つんだなあ、という気持ちですね。同い年で大学を卒業されて、4月から社会人になられた方々と同じような気持ちで私も頑張っていきたいです」
10年目を迎えた社会人生活の経験で学び得たことは「コミュニケーションの難しさと大切さを知ったこと」だという。
「対局以外にも仕事をさせて…
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- 北野新太
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