ホルムズ海峡付近のUAE沖でタンカー衝突、火災-不正行為疑いなし
- 市場では一時、イラン・イスラエル間の攻撃との関連懸念広がる
- 現場周辺ではジャミングが増加-世界で最も混雑する海域の一つ
アラブ首長国連邦(UAE)沖の海域で17日未明、2隻のタンカーが衝突し、火災が発生した。先週末にイスラエルがイランへの空爆を開始して以来、この地域の航行状況を注視している世界の原油市場と海運市場に衝撃が走った。
今回の事故は、現在続いている戦闘とは無関係とみられる。英国を拠点とする海上警備会社ヴァンガード・テックは、ブルームバーグが確認した警報の中で、現時点で「不正行為の疑いはない」とし、火災は抑えられ、乗組員は無事と伝えた。
衝突したのはアンティグア・バーブーダ船籍の「アデリン」とリベリア船籍の「フロント・イーグル」で、UAE北東の港湾都市ホール・ファカーンの東約44キロ地点で事故が起きた。UAE国家警備隊がソーシャルメディアに投稿した情報によると、「アデリン」に乗っていた乗組員24人は救助されたという。フロント・イーグルに関する詳細は、投稿では触れられていない。
National Guard Executes Evacuation of 24 People from Oil Tanker Following Collision Between Two Ships in the sea of Oman
The Coast Guard of the National Guard carried out today, Tuesday, June 17, 2025, an evacuation mission involving 24 crew members of the oil tanker ADALYNN,…
事故現場はホルムズ海峡の入り口に位置し、アジアや中東の午前の取引時間中に発生したため、海運業者や原油トレーダーの間には、イスラエルとイランで続く攻撃との関連を懸念する声が広がった。ホルムズ海峡やペルシャ湾周辺の海域では、各船が発信する航行信号が妨害される「ジャミング(信号妨害)」が増加しており、航行する船舶は警戒を強めている。
だが、その後、ヴァンガード・テックと海上警備会社アンブリーは、イラン・イスラエルの攻撃と事故に関連性が見られないと発表した。
「アデリン」の所有者として登録されているオーシャンパック・シップ・マネジメントは、問い合わせの電子メールに返答していない。
フロント・イーグルの運航会社フロントラインは、衝突事故の発生を認めた上で、「原因を明らかにするため、全面的な調査を実施する予定だ。これは航行上の事故であり、現在の地域紛争とは無関係だ」とのコメントを発表し、全乗組員の無事を確認したとしている。
ホール・ファッカン沖や、近隣の海上要衝であるホルムズ海峡周辺の海域は、世界でも最も混雑する海域の一つで、サウジアラビア、イラク、イラン、アブダビを含むペルシャ湾内の主要な原油・燃料供給地への玄関口として機能している。