退職代行から320万円 「モームリ」顧問弁護士が払った代償
「弁護士の使命をはき違えた」
東京地裁で6月、弁護士の男性に有罪判決が言い渡された。
男性の弁護士法人は退職希望者の依頼を受けて勤務先との交渉を請け負った。ただし、自ら仕事を開拓したわけではない。「退職代行モームリ」から有償で紹介を受けていた。
それは弁護士法違反として大きすぎる代償へとつながる。
顧問弁護士の「答え」
全ての始まりは2022年、オンラインで開かれた退職代行サービス業の意見交換会だった。
「弁護士に紹介し、紹介料をもらっていますよ」
モームリを運営する「アルバトロス」前社長、谷本慎二被告(37)は他の参加者から会社の利益につながる話を聞いた。
起業して間もなかった。
当時、雇用主と法的トラブルが生じそうな退職希望者の依頼は断っていた。
退職には残業代といった未払い金の請求など法律事務が伴うことがある。
弁護士資格がない谷本被告らが代理交渉すれば、「非弁行為」として弁護士法違反に問われる可能性があった。
では、退職希望者を弁護士につないだ場合はどうなるのか。
意見交換会の後、顧問弁護士だった梶田潤被告(45)に尋ねた。
「紹介料は弁護士法違反。別の名目なら可能」が答えだった。
ウィンウィンの関係
梶田被告側は22年7月、モームリ側と覚書を結ぶ。
退職者の紹介を受けた場合、1人当たり1万6500円を運営会社に支払う内容だ。
名目は「労働組合への賛助金」。運営会社の組合活動を支援しているように装った。
モームリ側にとっては非弁行為につながりそうな退職希望者を紹介するだけで利益が得られる。
梶田被告から見れば、退職者の相談に乗り、代理人に付くことで報酬を得られる可能性がある。
ウィンウィンの関係だった。
「もう無理」という退職希望者の気持ちに寄り添ったネーミングで、モームリは瞬く間に業界トップクラスへと成長する。
だが、順風満帆は25年10月に暗転する。
記事後半では退職代行と弁護士活動の実態、事件の余波を伝えています
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