【独自分析】カーグ島で大規模石油流出か…広い海域に拡散 イランの石油輸出拠点
イランの石油輸出拠点であるカーグ島周辺で今月、石油の大規模な流出が発生したとみられています。日本テレビが東京大学と共同で分析したところ、その後、流出した油が広い海域に拡散していることがわかりました。
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ペルシャ湾の奥に位置するイラン・カーグ島は、イランの原油輸出の9割を担い、戦闘開始後も原油の積み出しが行われてきました。
そのカーグ島の近くで、石油が大規模に流出した可能性が指摘されています。
今回、日本テレビは共同研究を行っている東京大学大学院の渡邉英徳教授と流出の広がりを分析しました。
まず、衛星画像のデータから、油が反射しやすい光の波長を検出し、島の西側の白く濁った一帯が“油膜”とみられることがわかりました。
東京大学大学院・渡邉英徳教授
「油特有の反射の仕方を捉えているところを強調して表示すると、黄色いシグナルとして表示される」
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日テレNEWS NNNカーグ島近くの“油膜”は、5月6日の衛星写真で初めて確認されました。その面積はおよそ60平方キロメートルで、東京ドーム1200個分を超える広さでした。
その後、“油膜”はどうなったのか。2日後の衛星写真では西側へと拡散していました。
さらに3日後、カーグ島の周辺では薄まったように見えましたが、島の南側およそ30キロあたりに大きく広がったかたまりを確認しました。
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日テレNEWS NNN“油膜”は移動したとみられ、海域の面積は4倍以上まで広がっていました。
東京大学大学院・渡邉英徳教授
「(“油膜”が)流れてきて、ここまで到達しています。3つのかたまりができていることがわかる。いかにも海で吹き流されたような形状になっています」
■“石油設備に問題が起きた可能性も”
日テレNEWS NNNでは、カーグ島周辺では何が起こっているのか。米軍は4月中旬から、ホルムズ海峡を“逆封鎖”しました。その結果、イランの石油が輸出できず、島にある原油の量が増加している実態が見えてきました。
調査会社「ケプラー」は、カーグ島内のタンクの衛星画像などを分析し、米軍の“逆封鎖”以降、タンクの貯蔵率が8割以上まで増え、満杯に近づいているとしています。
カーグ島の原油の分析を行う調査会社「ケプラー」の鳥潟ゆういプリンシパルマーケットアナリストは、流出が確認された時期から、島からの積み出しが止まっており、石油設備に何らかの問題が起きた可能性も指摘します。
■「有毒物質も発生し、環境への悪影響が」
日テレNEWS NNN一方、イラン側は、石油施設からの漏洩は報告されていないとしています。(ロイター通信による)
中東情勢が不透明な中での石油流出の可能性ですが、今後、自然への悪影響も懸念されています。
自然保護団体などによりますと、カーグ島が位置するペルシャ湾にはマングローブ林が分布し、多様な生物が生息しています。
石油の流出被害に詳しい国立環境研究所・牧秀明主幹研究員は、「有毒物質も発生し、魚や水鳥など環境への悪影響があると考えられる」とした上で、拡散を防ぐ対応がみられないことを懸念しています。
先行きがみえないイラン情勢ですが、長期化が続くことで、環境への影響も無視できなくなる可能性があります。