7月の米新築住宅販売は予想上回る、前月も上方修正-価格低下で

7月の米新築住宅販売は予想を上回り、前月分も上方修正された。価格の低下や手厚い販売インセンティブが、購入をためらっていた潜在的な買い手を市場に引き込んだ格好だ。

キーポイント
  • 新築一戸建て住宅販売(季節調整済み、年率換算)は前月比0.6%減少の65万2000戸
    • ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は0.5%増の63万戸
    • 6月は65万6000戸(速報値は62万7000戸)に上方修正

  新築住宅の販売件数は市場予想を上回ったものの、住宅ローン金利の高止まりが続く中、価格引き下げや各種インセンティブに依存する傾向が強まっている。

  販売インセンティブを活用していると回答した建設業者の割合は66%に達し、コロナ禍後の最高となった。2009年以来の高水準となる完成住宅の在庫をさばく動きが背景にある。

  サンタンデールUSキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏はリポートで、新築住宅の過剰在庫が今後も建設業者に新規着工を控えさせると指摘。「建設中の販売物件数が減少する形で、建設活動の減速がわずかながら市場に改善の兆しをもたらしている」としたものの、「希望をもたらしているとはいえ、完成済み住宅の販売在庫が減少しない限り、建設抑制は引き続き業者にとって喫緊の課題になるだろう」と述べた。

  ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール氏は「住宅建設業者は在庫を抱え過ぎており、完成済み物件の割合が増えている。今後数カ月は、在庫と高止まりする住宅ローン金利が、住宅市場の活動および価格を圧迫する要因になるとみている」と指摘した。

  エントリーレベルの住宅を手がけるDRホートンは直近の決算説明会で、一部の顧客向けに住宅ローン金利を3.99%まで引き下げる手厚い補助を実施していると説明した。信用スコアの低い借り手も受け入れやすい連邦住宅局(FHA)保証付きローンの利用が増加する中、販促強化の一環としている。

  一方で、全体的な住宅需要は徐々に安定する兆しもみられる。8月15日終了週の住宅ローン金利は、4月以来の水準近くに低下した。

  販売価格(中央値)は前年同月比で約6%低下し、40万3800ドル(約6000万円)。7月としては、2021年以来の低価格となった。今年は1カ月を除き、価格は年率ベースで毎月低下している。

  新築住宅の販売価格中央値は、4カ月連続で中古住宅を下回った。

  価格が下がったとはいえ、建設業者による在庫の解消には依然として時間がかかっている。着工前や建設中の物件を含めた新築住宅の供給数はわずかに減少し、49万9000戸となったが、2007年以来の高水準付近にとどまっている。

  地域別では、西部での販売が11.7%増加した一方、南部および中西部で減少した。

  新築住宅の販売は、契約成立時点で集計される中古住宅の購入よりも足元の市場動向を反映しやすい指標とされるが、月ごとの変動が大きい。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US New-Home Sales Exceed Forecast Following Upward Revision(抜粋)

(コメントのほか、販売価格の中古住宅との比較を加え、更新します)

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