<主張>ウクライナ侵略 公正な和平へ全力尽くせ 日本の安全保障と無縁でない 社説
ロシアのウクライナ全面侵攻から24日で4年が過ぎた。
この1年間はトランプ米大統領の仲介で和平交渉が活発化したが、いまだ成果にはつながっていない。日本や欧州など自由・民主主義諸国も、公正で永続的な和平の実現に向けて交渉を後押ししなければならない。
ウクライナの主権を維持し、停戦後の再侵略を防ぐ「安全の保証」の仕組みを整えることが和平の根本条件である。ロシアが果実を得る形での戦争終結は東アジアにおける次なる侵略を誘発しかねない。日本はその点を銘記し、ウクライナへの関与を続けていくべきである。
◆露は卑劣な攻撃やめよ
昨秋以降、ロシアはウクライナのエネルギー施設を狙ったミサイル・ドローン(無人機)攻撃を強め、ウクライナは深刻な電力不足に見舞われた。1日数時間しか電気が通らない中、ウクライナの人々が氷点下15~20度にもなる厳冬期を暖房なしで耐えていることに胸が痛む。
住宅や病院など民間施設への攻撃も続いている。国連機関によると、ウクライナでの民間人の死者は1万5千人、負傷者は4万1千人を超え、数百万人が家を追われた。
ロシアは国際人道法(戦時国際法)に違反する民間人攻撃を即座にやめねばならない。
いくら卑劣な攻撃を繰り返しても、プーチン露大統領は侵略戦争の目的を何ら達成できずにいる。最低目標とされる東部ドンバス地域(ドネツク、ルハンスク両州)の全域制圧すらできていない。露軍は昨年、1日当たり1100人超の死傷者を出しながら、拡張できた占領地はウクライナ領の1%未満だ。
トランプ政権が主導する和平交渉はこうした状況下で行われている。プーチン政権はドンバス全域の割譲を求めており、ウクライナ軍が2割超を保持しているドネツク州から撤退するよう要求している。
だが、ロシアの武力で奪われたわけでもない地域を交渉で露側に与える道理は全くない。そもそもウクライナ領の主権までロシアに渡すような停戦は、力による現状変更を認めるものとして後世に大きな禍根を残す。断じて容認できない。
プーチン政権はまた、「和平には紛争の根本原因を除去することが必要だ」とする立場を変えていない。ウクライナを傀儡(かいらい)国家とする企(たくら)みを諦めていないということだ。ロシアの再侵略を招くような脆(もろ)い停戦は受け入れられず、ウクライナへの「安全の保証」を確固たるものとしなくてはならない。
プーチン政権を動かすには対露圧力を強化することが不可欠だ。ロシアの戦時経済は各国の対露制裁強化により減速し始めた。疲弊は今後、ますます深まるだろう。ロシア産原油を密輸するタンカー群「影の船団」への制裁拡大など、米欧日がなすべきことはまだ多い。
◆日米欧で圧力の強化を
ロシアが2014年にウクライナ南部クリミア半島を併合した際の米欧日の対応は甘く、対露制裁は限定的だった。このことがロシアを増長させ、22年の全面侵攻を招いたという教訓を忘れるべきでない。
トランプ政権内に今後の対露ビジネスへの期待があるのだとすればもってのほかである。ロシアが占領地から子供を連れ去ったり、占領地で自国を礼賛する洗脳を行ったりする人道犯罪もある。これらも不問に付すような甘い姿勢は許されまい。
高市早苗首相が施政方針演説で「ロシアによるウクライナ侵略を早期に終結させることが重要だ」とし、「ウクライナの意思を最大限尊重しながら、同志国とともにウクライナを支えていく」と語ったのは妥当だ。
ロシアのウクライナ侵略がどう決着するかを最も注視しているのは、ロシアを支える中国や北朝鮮である。ウクライナの主権と安全の確保は東アジアの安全保障に直結することを厳しく認識しなければならない。
とりわけ、北大西洋条約機構(NATO)が米国製兵器を購入してウクライナに供与する枠組み「ウクライナ優先要求リスト」(PURL)に、日本が参加する方針を決めたことは重要だ。高市政権には、日本に滞在しているウクライナからの避難民についても、自治体と連携して支援を続けてもらいたい。
トランプ氏の関税政策や言動を巡り米欧の間では不協和音も目立つ。だからこそ日本には両者の橋渡しをする役割も国際社会から期待されている。