参議院選挙・千葉 当選は小林さやか氏・長浜博行氏・石井準一氏に 【勝因を解説】
参議院選挙・千葉選挙区は、国民民主党、立憲民主党、自民党が3つの議席を分け合う結果となりました。
過去最多の16人が立候補する中、何が当落を分けたのか。担当記者が解説します。
(千葉放送局記者・茂木里美)
(※開票結果はこちらの記事でお伝えしています↓)
ラッカ星人参議院選挙・千葉選挙区は、
●小林さやか氏(国民民主党・新人)、
●長浜博行氏(立憲民主党・現職)、
●石井準一氏(自民党・現職)の
当選が決まりました。
選挙戦の取材にあたってきた、千葉県政キャップの茂木里美記者に聞きます。この結果をどう見ていますか。
自民党にとって厳しい結果となりました。前回・前々回の選挙では、いずれも自民党が2議席を確保し、残りの1議席を立憲民主党が確保して分け合ってきました。
しかし、今回は自民党の現職の豊田俊郎氏が議席を失い、国民民主党の小林氏が躍進して、野党が2議席を確保する形になりました。
自民党が議席を1つ失った要因には、どのようなことが考えられますか。
政権と自民党の支持率の低下が大きいと思います。
選挙期間に入ってからのNHKの世論調査では、石破内閣の支持率は30%余りにとどまり、政権発足以来、最も低い水準になっています。
また、自民党の政党支持率も、2012年の自民党の政権復帰以降で最も低くなっていました。
さらに、NHKが投票日に行った出口調査では、石井氏は自民党支持層の4割ほど、豊田氏は2割ほどしか固められず、保守層の票の一部が流出したものとみられます。
このほか、出口調査では「投票する際に最も重視したこと」を尋ねました。
全体の約半分が「物価高対策・経済対策」と回答しましたが、このうち石井氏と豊田氏は、それぞれ10%前後からしか支持を集められませんでした。
政権の政策に不満をもつ有権者が多かったと考えられます。
石井氏の応援を続けてきた人は、「自民党への厳しい評価を感じた。その結果、多くの票が野党に流れてしまった」と選挙戦を振り返っていました。
小林氏は50代以下の現役世代と無党派層から広く支持を集めました。
出口調査では、年代別の10~50代で最も多く支持を集めたほか、無党派層も候補者の中で最も多い3割ほどが投票していました。
(※出口調査の結果はこちらでお伝えしています↓)
茂木記者また、先ほどの「投票する際に最も重視したこと」の質問では、「物価高対策・経済対策」や「少子化対策」と回答した有権者の間で最も多くの支持を受けています。
最も強く訴えていた「現役世代から豊かになる社会づくり」という政策が、一定程度、浸透していたものとみられます。
長浜氏は、出口調査で立憲民主党の支持層の7割ほどを固めていました。
立憲民主党は去年の衆議院選挙で、比例復活も含めて県内の衆議院議員が10人に倍増するなど組織力が高まっています。
その上で、長浜氏には衆議院議員の時代から30年ほどにわたって国政選挙を勝ち抜いてきた地盤の強さがあり、着実に得票を重ねました。
しかし、6年前の選挙と比べて大幅に得票を減らす結果になりました。
今回の選挙では参政党の躍進が目立ちました。千葉ではどうだったのでしょうか。
参政党の新人の中谷氏は、自民党の現職の石井氏に及びませんでしたが、自民党の現職の豊田氏を大きく上回りました。
去年の衆議院選挙の比例代表で、党として集めた約9万7000票の4倍ほどを獲得し、千葉でも支持を拡大したといえます。
とはいえ、現役世代に対する訴えを前面に出し、若い世代や無党派層から一定の支持を集めたものの、国民民主党の小林氏と支持層が重なる部分もあり、千葉では当選圏内には及びませんでした。
今回は投票率が前回より大きく上昇しましたが、当落にはどう影響したのでしょうか。
今回特徴的だったのが、期日前投票の増加です。
千葉県の参議院選挙では有権者の約24%、過去最多となる120万人以上が期日前に投票を済ませました。
投票日が3連休の中日ということもあり、当初は投票率の低下が危ぶまれましたが、結果的に投票率は前回・3年前より上昇し、その分、若い世代や無党派層の票が掘り起こされたものとみられます。
また今回、千葉選挙区ではさまざまな政党や政治団体などから16人が立候補し、千葉県の参議院選挙としては過去最多となりました。
そして、小林氏や中谷氏など現役世代への訴えを政策の中心に据える候補が、投票率が低く比較的関心が低いとされてきた若い世代の有権者から関心を呼び、躍進につながった可能性もあります。
今回の結果は、今後の県内の政治情勢にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
自民党が2議席を確保できず、さらに6年前・12年前とトップで当選してきた石井氏が中谷氏に迫られたという状況に、衝撃が広がっています。
自民党千葉県連の関係者の1人は「当初の想定にはない状況だ」とこぼしています。
千葉県内ではこの1年間で衆議院選挙、知事選挙、参議院選挙と大型選挙が続きましたが、国政選挙では自民党が支持を減らし、国民民主党や参政党の躍進が目立つ結果となりました。
衆議院の解散などがなければ再来年の統一地方選挙まで大型選挙の予定はありませんが、今回の選挙の影響がどのように千葉の政界にも広がっていくのか、注視していきたいと思います。