終結見えぬウクライナ侵攻、ロシアに代償を支払わせるために何をすべきか(Forbes JAPAN)

ロシアによるウクライナ侵攻開始から3年が経過した今も終わりが見えないまま、西側諸国はウクライナに数百億ドルの支援をし続けている。最近行われた米露首脳による電話会談でも、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は戦争の終結に対する関心を一切示さず、会談の直後にウクライナへの爆撃を再開。ウクライナ全土を掌握したいとの意向を再び表明した。 カナダのCBCニュースによると、ロシアは6月だけで、ウクライナに約5500発のロケットとミサイルを送り込んだ。ロシアは8月、1日当たり1000機のドローン(無人機)でウクライナを攻撃する計画だとも報じられている。 西側諸国の対ウクライナ支援はロシアを止めることはできなかった。では、米国のドナルド・トランプ大統領がロシアに戦争の代償を払わせ、現状を覆す方法はあるのだろうか? ■ロシアによる略奪と破壊の規模を物語る数字 戦争によるウクライナの経済と社会基盤に対する損害は、推定5520億ドル(約81兆2000億円)以上に上るとみられている。その内訳は驚くべきものだ。 ● 144億ドル(約2兆1200億円)相当の産業機器の略奪 ● 40億ドル(約5890億円)相当の文化財の略奪と破壊 ● 1150社以上の企業の乗っ取り ● 8億ドル(約1180億円)相当の穀物の略奪 ● 6億ドル(約883億円)相当の鉄鋼製品の略奪 ● 1760億ドル(約25兆9000億円)相当の社会基盤の破壊 ● 103億ドル(約1兆5200億円)相当の農業被害 ■ロシアはどこから戦争資金を得ているのか 米国の納税者がウクライナに支援を送る一方で、西側諸国はロシア産の石油と天然ガスを輸入し続け、プーチン大統領の懐に資金を注ぎ込んでいる。2022年2月の侵攻開始以降、西側諸国によるロシア産天然資源の輸入額は、対ウクライナ支援額の3倍を超えている。つまり、ロシアがウクライナに侵攻し、同国を食い物にしている間、西側諸国はゆっくりとウクライナを防衛しながら、密かにロシアに資金を流してきたのだ。この慣行を継続しながら、ウクライナに対する米国の支援を停止することは、ロシアの勝利と米国の恥ずべき撤退につながるだろう。 ■ウクライナをいかに支援すべきか 開示の方針に基づいて申し添えておくと、筆者はかつてカナダ・ウクライナ財団の会長を務め、現在はカナダ南部トロントの東欧民主主義センターで上級顧問を務めている。 歴史家のティモシー・アシュによれば、ウクライナを戦勝に導くには年間約1500億ドル(約22兆億円)の費用がかかるという。高額だと思われるだろうか? そう思われても無理はない。しかし、ウクライナが敗戦した場合に北大西洋条約機構(NATO)が10年間に支出しなければならなくなる4兆5000億ドル(約662兆2000億円)と比較してみてほしい。 もしウクライナが敗戦した場合、恐らく数百万人もの難民が同国から欧州に押し寄せ、北米を含む西方面に流れ込むことを考えてみよう。世界経済が不安定化する中、ロシアが力を増し、NATOと対峙(たいじ)することになり、防衛費は大幅に増加するだろう。欧州の関心が東洋からそがれているのを見て、中国は台湾への攻撃の機会をうかがうようになり、北朝鮮も強硬姿勢を強めるだろう。

Forbes JAPAN
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