フィリピン国防相が国防費増額に言及、最大でGDP比4.0%への引き上げ
フィリピンは南シナ海で中国と緊張状態が続いており、テオドロ国防相は10日「政府は予算の一部を組み替えて国防費を最大GDP比4.0%まで引き上げるべきだ」「極端な話、安全保障のフリーライダー(ただ乗り)的な意識こそが信頼できる抑止構築の最大の敵だ」と述べた。
参考:Teodoro seeks defense budget hike to 4% of GDP amid WPS tensions
フィリピンは南シナ海のスプラトリー諸島やスカボロー礁などの領有権を巡って中国と緊張状態が続いており、アキノ政権は軍の役割を「国内治安の維持」から「領土・領海の保護」にシフトさせる軍近代化計画=Horizonを2013年に開始し、2017年までのHorizon1ではFA-50×12機、ホセ・リサール級フリゲート×2隻を取得、2018年~2022年までのHorizon2ではラジャ・スレイマン級哨戒艦×6隻、ミゲル・マルバル級フリゲート×2隻を発注、2023年~2028年までのHorizon3は南シナ海での領土防衛を含む外部脅威に対応した近代化計画だ。
出典:Philippine Navy
フェルディナンド・マルコス大統領は2024年1月にHorizon3の期間と規模を拡張した「Re-Horizon3(2023年~2033年)」を承認したため、3段階に分かれていた最後の近代化計画は「フィリピン史上最大規模の国防投資(約2兆ペソ=約5.5兆円)」になり、既にFA-50 Block20×12機、ミゲル・マルバル級フリゲート×2隻を発注済みで、新型戦闘機、早期警戒機、潜水艦、地上配備型防空システムの取得、ブラモスの追加取得などを予定している。
この軍近代化計画を実行するための資金=国防支出額は力強い経済成長率(4%~7%)に支えられて着実に伸びており、債務残高もGDP比約60%台なので財政的に見ても追加支出の余裕があるのだが、GDPに占める国防支出の割合は1.3%~1.4%止まりで、フィリピンメディアのGMA Networkは10日「テオドロ国防相は南シナ海における緊張が続いている状況を受け、政府は予算の一部を組み替えて国防費を最大GDP比4.0%まで引き上げるべきだと述べた」と報じた。
出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Mitchell Corley
“我々は間違いなく予算を組み替える必要がある。これは「そうすべきかもしれない」というレベルの話ではない。予算には限りがある以上、予算の組み換えは不可避の措置だ。ある分野への配分を増やせば、別の分野への配分が減るということだ。私が言っているには国防費の増額が必要だということだ。そのための手法はいくつか存在する。我々は少なくともGDP比2.0%、3.0%、4.0%まで国防費を引き上げなければならない”
“中国から直接的な脅威にも晒されていないインドネシアでさえ、最近になって最新型のラファールを47機も調達している。抑止とは単なる決意表明以上のものを意味する。それは実際の支出を意味し、ひいては国民への公共支出を一部削減してでも、そのリソースを信頼に足る強靭な戦力の構築に投入することを意味するのだ”
出典:Fincantieri
“だからこそ、国家として毅然と立ち向かうことの意義を極めて具体的な言葉で国民に浸透させ、経済学者が指摘するところの「フリーライダー(ただ乗り)問題」に陥ることなく、確固たる抑止力の構築に必要な要素について国民の理解を深めなければならない。もしそれに失敗すればどうなるか。極端な話、このフリーライダー的な意識こそが信頼できる抑止を築く上で直面する最大の敵だ。そしておそらく、それこそが戦略において明確に示されなければならない点だ。そのような覚悟がなければ、我が国は最終的に自国の権利を主張するのに不可欠な「信頼に足る抑止」を構築することはできない”
国防費を最大4.0%まで引き上げるには予算を組み替えて社会保障を削減する必要があるものの、2026年の名目GDP予測(約5,122億米ドル)で国防費を4.0%まで引き上げた場合、フィリピンの国防費は約204億ドル=約3.3兆円規模となるが、S&Pグローバルの予測に基づき2033年の名目GDP(約1.1兆ドル)で計算すると約460億米ドル=約7.4兆円規模になり、2024年に日本が拠出した防衛費に匹敵する規模感になる。
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