KDDI子会社車両、モンゴルの自然保護区約8割の大規模火災を引き起こす。

10月11日の衛星画像。黒い部分が焼け跡で、赤は熱源を検知した地点。画像:NASA Worldview

 KDDIは日本国外でも通信事業を手がけており、モンゴルでは最大手の携帯電話会社モビコム(Mobicom)を連結子会社に持っています。

 そのモビコムの車両から出た火が、モンゴル東部の自然保護区を焼く大規模な草原火災に発展しました。

 新華社通信は、モンゴルのニュースサイト「Eguur News」の報道として、モビコムの一行13人が車5台で保護区に入り、その中に複数の日本人がいたと伝えています。車が枯れ草の上を走ったことで火が付いたとのこと。

 モビコムは自社の車両からの出火を認め、越智康博CEOがモンゴル人に謝罪しています。

 火災が起きたのは、ドルノド県ハルハゴル郡にあるヌムルグ(Nömrög)厳格保護区。新華社通信によると、最初の通報は10月8日午前11時55分(現地時間)で、出火地点は保護区の中でも立ち入りが厳しく制限された中核区域でした。

 モビコムは声明で「当時は通信網の整備に向けた現地調査をしていた。その際に車両から出火し、草原火災を引き起こした」と説明しています。

 同社は2018年から国境地帯で通信網の整備を進めており、2026年にはハルハゴルの国境警備隊拠点を4Gにつなぎ、スンベル国境検問所に光ファイバーを引いたとのこと。その引き渡しや通信状態の点検、今後の整備に向けた調査のために現地にいた、というのが同社の説明です。

 被害は広範囲に及びました。モンゴルのニュースサイトikon.mnによると、東部地域の非常事態当局は、10月12日時点で保護区全体の約8割に火が及んだと発表。保護区の広さは約58万7700ヘクタールで、東京都の2倍以上にあたります

 モンゴルの国境警備総局によると、10月13日までの消火には、隣国の緊急対応部隊も含む60チーム・606人と機材100台が当たりました。また新華社通信によると、火が国境に迫った中国側も消防救援隊など3400人余りを国境沿いに配置しています。

 そして、現地紙shuud.mnによると、火は8日間燃え続けた末、10月16日の朝に完全に消し止められています。

 しかし、モビコムの説明には疑問の声も出ています。現地報道では、一行が狩猟や、絶滅危惧種のアムールイトウ(タイメン)を釣るために保護区へ入ったのではないかとの指摘が出ていますが、当局はまだ結論を出していません。

 国境警備総局は10月13日の声明で、地元の国境警備隊の部隊長が、モビコムの経営陣らを含む13人(車5台)に10月6〜8日の国境地帯への立ち入りを許可していたと説明しています。

 しかし、ノムトイバヤル副首相(緊急事態担当)は、モビコムのグループが業務として保護区に入る必要があったのかどうか、さらに調べる必要があると述べました。

 また、テムーレン法務・内務相は、モビコムの職員と国境検問所の管理部門の関係者の責任を追及し、国の損失を賠償させると発表。事件は警察に送られたものの、公式な結論はまだ出ていません。

 通信網の整備のためだったとしても、立ち入りが厳しく制限された自然保護区の中核で火を出し、その大半に火が及んだ責任はあまりにも重いもの。事実関係を徹底して明らかにしてほしいところです。

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