天王星の「隠れた衛星」を発見。…ってことは、さらにあるかも?
天文学者は、これまで知られていなかった小さな衛星を天王星の周回軌道上に発見しました。この新しい衛星には「S/2025 U1」という仮の名称がつけられました。
あまりに小さく暗いため、研究者たちは「天王星にはまだ見つかっていない衛星がさらに存在するのでは?」と考えています。
29個目の衛星、どうやって見つけた?
今回の発見によって、天王星の衛星の総数は29個になりました。見つかった衛星は非常に小さく、光も弱いため、NASAが1977年に打ち上げた無人探査機「ボイジャー2号」では確認できなかったのです。
この衛星は2025年2月2日、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測データに初めて映り込みました。その後、米国南西研究所(SwRI)による追加観測により、天王星の赤道面にある内側の環の端付近、天王星の中心から約5万6,000キロメートルの距離に位置することが明らかになりました。
なぜこの衛星は小さすぎるのか
この新しい衛星の最も注目すべき点は、その極端に小さなサイズです。天王星の他の衛星と同程度の反射率を持つと仮定すると、その直径はわずか約10キロメートルしかありません。
「とても小さな衛星ですが、NASAのボイジャー2号ですら40年前の接近観測で見逃していたものを今回発見できたという点で、大きな意義があります」
と、SwRIの科学者、Maryame El Moutamid氏はNASAの声明で語りました。
また、地球外知的生命体の探索を行うSETI研究所のMatthew Tiscareno氏も
「他の惑星には、天王星ほど多数の小型の内側衛星は存在しません。これらの衛星と環の複雑な相互作用は、天王星がかつて経験した混沌とした歴史を示しており、“環のシステム”と“衛星のシステム”との境界をあいまいにしています」
と述べています。
さらにEl Moutamid氏は
「この発見は、現代の天文学がいかに『ボイジャー2号』の遺産を受け継ぎ、その先を広げているかを示しています」
とコメントしています。
Image: SwRIボイジャー2号は、1986年1月24日に天王星へ最接近し、人類にとって初めての天王星の間近な観測を行いました。そして今、約40年を経て、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がその探査の最前線をさらに押し広げているのです。
今後の展望と新しい名前
この新しい衛星の正確な組成(何でできているか)はまだ明らかではありません。しかし、これほど小さな天体が天王星の周囲に隠れていたことは、同じような未発見の衛星がまだ存在する可能性を示唆しています。
Tiscareno氏によれば、研究チームは今後、過去の記録を調査して正式な名称を決める予定です。これまで天王星の衛星の名前は、主にシェイクスピアの作品の登場人物から取られてきました。近いうちに、正式に決まるようですが、どんな名前になるのか期待が膨らみます。
Source: NASA