2026年の市場予測 高市相場で追い風が吹く日本株は?

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2026年に入り、長期金利(10年物国債利回り)は2.1%を超えてきました。これは一時的ではない構造変化であり、日本人は今後、資産運用をこの環境に合わせる必要があります。日本株はリスクも高い状況ですが追い風も吹きます。現状を再確認しておきましょう。

日銀は25年12月の金融政策決定会合で政策金利を0.25%引き上げ、30年ぶりの水準である0.75%としました。26年のどこかでさらに0.25%引き上げるくらいまでは既定路線でしょう。利上げのペースが速いと感じる人が多いかもしれませんが、私はむしろ遅過ぎると感じています。

12月の会合での植田総裁を見る限り、本当は利上げをしたくはなく、円安を止めるためにやむなく動いただけと思えてなりません。例えば「消費者物価指数(CPI)の総合で見たインフレ率は26年前半には大きく低下し、2%を下回る」という発言がありました。

足元で3%のインフレ率が半年以内に2%を割るとは思えませんが、そう考えている前提の発言は追加利上げを否定するメッセージにも聞こえます。24年7月の利上げ時に相場暴落を招いた経験もありますし、利上げのアクセルを踏み過ぎるのが怖い気持ちは分かりますが、今の状況ではあまりにも慎重過ぎる印象です。

30年ぶりの高金利といっても、インフレ率を加味した実質金利はまだ大きなマイナスであり、現状は金融引き締めとは到底言えません。利上げ直後にむしろ円安が進んだことからも読み取れるように、日銀のメッセージはハト派であり、インフレや円安を本気で抑え込む姿勢はないと見なされています。

金融政策だけでなく、政府の経済政策の影響もあります。高市早苗政権の発足前まで1.6%台だった長期金利はそこから一気に0.4%も上昇しました。

高市首相の経済政策はインフレを退治する性質のものではなく、部分的な減税や補助金による対症療法、「痛み止め」が中心です。インフレは仕方ないというか、むしろ経済成長のために必要なものだと考え、それに賃金上昇が追い付かない間は痛みを緩和しながらしのぐ方針なのでしょう。インフレが収まらずに財政支出が増えるなら、国債の需給は悪化しますから長期金利は上昇します。

ただ、この金利上昇は「日本売り」とは言えません。国債と円は売られていますが、日本株は逆に上昇の勢いが強まっており、英国のトラス・ショックのような「トリプル安」にはなっていません。

積極財政は必ずしも悪いことではありません。経済成長のためには有望な産業への積極投資が必要であり、設備投資減税など財政支出を伴う支援は有効です。

日本の半導体産業は、1980年代に世界の半導体産業の6割を支配していたところから凋落しました。本来なら巨額投資が必要だった90年代に、バブル崩壊の余波で十分な資金が集まらなかったためです。逆にその頃に、政府の後押しでハイリスクな投資を積極化できたのが台湾と中国であり、その後は日本と明暗が分かれることになりました。金融の失敗は国の競争力も揺るがすのです。

日本政府はようやく有望産業への支援に本腰を入れたように見えます。うまくいけば製造業はもう一度花開く可能性があり、日本株が買われている一因でもあります。

ただしもちろん、「何でもいいから財政支出を増やせばいい」わけではありません。金融緩和や財政支出拡大による通貨の大量供給は、その価値と信認を落とす行為です。

歴史上、強引にマネーサプライを増やす政策で最終的に豊かになった国は存在しません。古代ローマ帝国が硬貨の量を増やすために、硬貨の銀含有量を落としたら、その後の100年間で物価は約150倍になったといわれています。これはいわば、金融緩和がハイパーインフレをもたらした事例です。

リーマン・ショック以降の世界は、景気後退を恐れるあまりに安易に金融緩和や財政出動に走る傾向があり、コロナショックでその傾向が加速しました。金などの貴金属が世界的に値上がりしているのは、ドルを含めて世界中の法定通貨の信認が低下し始めていることの表れです。日本も必要な分野には積極的にお金を回すべきですが、決定的な日本売りを招かないような配慮が必要です。

長期金利が2%超ということは、特にリスクを取らなくても2%の利回りを得られるということです。それよりリターンの低いところで資産の多くを寝かせる価値はありません。少なくとも自分の資産全体の平均利回りが3%のインフレ率を超えることを目指す必要があります。それは投資家ならば特に高いハードルではありません。

日本株は有望資産の一つです。トランプ関税の日本企業への悪影響は懸念したよりは少なく、25年の日本株のパフォーマンスは米国株を上回りました。秩序を保ったまま日本の金利が上昇すれば、今までキャリートレードで海外に流れていた資金が日本への再投資に回る可能性にも期待できます。

期待の分野はやはり製造業でしょう。機械やロボティクス、造船、鉱山技術などは、米国が中国依存を下げるために日本に工場となってほしい分野でもあります。

現在の日本株は、日経平均株価が短期間で5万円を突破した後のもみ合いの時期であり、短期的に4万円台前半までの調整がいつ起きてもおかしくない状況です。それでも長期的に有望であるという考えは変わりません。

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