万博キャラ「ミャクミャク」生みの親が語る思い 神戸育ちの山下浩平さん「みなさんが育ててくれた」

大阪・関西万博の会場で、大勢の来場者に囲まれるミャクミャクの像=大阪市此花区の夢洲(撮影・風斗雅博)

 大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」は、神戸育ちのデザイナーで絵本作家の山下浩平さん(54)=東京都=が考案した。ぬいぐるみやシューズ、電車のラッピングに記念硬貨まで、万博をPRしてきたミャクミャクは、会場でも至るところに顔を出しており、山下さんは「机の上で描いた絵が会場にいるのは不思議な感じです」と笑みをこぼす。

 明石高校美術科、大阪芸術大でデザインやアートを学び、20代後半から東京を舞台にグラフィックデザインやテレビ番組のキャラクター制作、絵本づくりに励んできた。2021年秋に始まった公式キャラの一般公募に応募したのは「大阪、関西での万博」だったからだ。

 1970年大阪万博の象徴、太陽の塔が好きで「万博のにおいを学生時代に感じていた」。叔父が当時の会場建設に関わった縁もあった。

 奇抜な赤いロゴはそのまま顔に。「水の都」の大阪にちなんで体は青く、腕には滴をつけた。さまざまな形に変化する設定で多様性も提示した。応募1898点の中から選ばれ、その後「ミャクミャク」と名付けられた。

大阪・関西万博の会場で、大勢の来場者に囲まれるミャクミャクの像=大阪市此花区の夢洲(撮影・風斗雅博)

 「ロゴや名前もあってのキャラで、自分だけではできなかったし、みなさんが育ててくれた。『宣伝隊長』としての役目は頑張ってくれたかな」と山下さん。考案した時期は、新型コロナウイルス禍のまっただ中だったこともあり「みんなが万博に行ける状態なことがうれしい」と話す。

 「これからはパビリオンや建築、関わるスタッフやボランティアのみなさんが主役」。会期中、一般客として会場を訪れたいと思っている。

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 今、力を注ぐのは絵本や児童書だ。ミャクミャクとはまた違う、温かみあふれる筆致で作品を紡ぐ。絵を担当した近著「見る 知る ふれあう 学校のまわりの自然たんけん図鑑」(ポプラ社、全4巻)では、四季折々の生き物や植物のカットを描いた。

 元来、大の生き物好き。自然観察は今も大事な趣味だ。両親と、譲った子ガメをモチーフにした漫画「おばあちゃんとかめ」を神戸新聞朝刊(毎月第2・4土曜)で23年11月から連載中。先月26日には第35話を迎えた。(大盛周平)

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