【特集】“赤字病院” 組織の維持がなければ「医療も展開できない」病院の経営とは≪新潟≫
今、全国的に問題となっている病院の赤字経営。新潟県内では2024年度、県立病院が過去最大の46億円の赤字となるなど多くの病院が厳しい経営状況におかれています。
なぜ赤字になるのか。私たちにどんな影響があるのか。大幅な経営改善で赤字脱却を目指す県内の病院を取材しました。
1人でも多くの命を救うために…….ここは24時間患者を受け入れる総合病院です。しかし、命を救う現場が直面している課題があります。医療機器などの物価高騰に、人口減少、さらにコロナ禍からの受診控え。こうした中、新潟市西区の新潟医療センターが進めてきた改革のひとつが、救急車の受け入れです。2年でおよそ2倍に拡大。より多くの患者を診療できる態勢を整えてきました。〈救急外来の看護師〉「今までにやったことがない処置が必要だったり、知識や技術だったり、そういうのをすごく痛感しています。やりがい、めっちゃあります」
“経営改革”真っただ中……医療の最前線に密着しました。
県内で11の病院を運営するJA新潟厚生連が「資本が枯渇する恐れがある」と発表したのは2024年の夏。8月時点で73億9000万円の赤字が予想されていました。その後、職員の賞与削減など大幅な経営改革に着手。さらに、県や病院が立地する6つの市が計約19億円を支援するなどしたため資金の枯渇を回避しました。それでも2024年度の決算で、赤字額は約30億円となりました。同じ公的医療機関である13の県立病院は2024年度過去最大となる46億円の赤字に。新潟市民病院も2024年度は過去最大のおよそ16億円の赤字となっています。いま深刻な社会問題となっている病院の“赤字経営”。経営難を背景に最近では、2025年3月JA新潟厚生連村上総合病院が、年間1億円の赤字を生むとして分べんの取り扱いを休止。佐渡総合病院は機器の更新ができないため8月で放射線治療を終了します。
県立松代病院は2026年4月から入院機能を県立十日町病院に集約。病床を持たない「無床診療所」とする予定です。