AI銘柄下落、ヘッジファンド破綻の噂|大橋ひろこ
10月17日金曜日、米株市場も全面安。AI半導体銘柄の軟調が続きます。
下げ率はそれほど大きくありませんので、◯◯ショック、というほどのものではないのですが、SOX指数は8営業日連続で下落しています。これは2008年10月の世界金融危機以来、約18年ぶりの最長連続安となる異例の長期連敗。10月6日につけた直近の高値(13,217.8)から、わずか2週間足らずで約15.7%も下落しています。
SOX指数先週のマーケットを震撼させたコアウィーブも続落となったほか、米AI開発企業のアンソロピック(Anthropic)が10月14日にサンフランシスコの本社で開催した11月の新規株式公開(IPO)に向けた機関投資家向けの非公開説明会もネガティブ要因だったようですね。
2026年第3四半期の売上高(168億ドル、前四半期比45%増)という数字が示されました。この数字自体は決して悪くはないのですが、第2四半期に見せていた「前四半期比2倍超(約147%増)」という爆発的な成長スピードからは明確に減速。一部の投資家の間で企業評価額を従来の目標(2兆ドル)から約25%低い1兆5000億ドル程度へ引き下げる検討がなされている、という報道が嫌気され、AI関連銘柄全般に売りが広がっているという指摘も。
ヘッジファンド破綻の噂、中国ディープシークの脅威
また、真偽不明ながらマーケットには巨大ヘッジファンド破綻の噂も駆け巡りました。
AIヘッジファンド「VARA」を巡る清算の噂が再燃、レバレッジをかけたAI株投資への懸念が高まる
「VARA(Value Aligned Research Advisors)は、元BlackRock幹部のBen Hoskin氏と元Hudson River Trading幹部のDavid Field氏が昨年設立したAI特化型ヘッジファンドで、6月末時点で123銘柄の普通株式およびオプションに約401億ドルのポジションを保有。同ファンドは7月だけで44%の損失を計上しており、Bloom Energy、Nebius、CoreWeave、さらにMicron、SanDisk、SeagateなどのAIハードウェア企業を含む主要保有銘柄の株価下落を受け、あるファンドの損失が強制売却を引き起こし、同じ銘柄を保有する他の投資家に圧力が波及する可能性が懸念されている。」
大手メディアはまだ報じていませんので噂の段階ですが、噂ではこのファンドの規模が6月末時点で約264億ドル(約4兆円)を運用していると報じられておりAI特化型のヘッジファンドとしてはかなり大きいため、警戒が広がっているようです。保有銘柄がCoreWeave、Nebius、Bloom Energyなど今週急落したAI関連株と重なっているようで清算が事実であれば、売りが売りを呼ぶ連鎖のリスク、というわけです。
そして中国DeepSeekの新モデル「V4.1-Flash-1017」が公表され、一部の投資家から警戒の声が。
【速報】🚨 再び、DeepSeekショックが到来か Astra超えでコストが1/40、Fable超えで1/100に中国DeepSeekの新モデル「V4.1-Flash-1017」が、AIに開発作業を任せるテストで米国勢を上回る成績。しかも、1タスク当たりの平均費用は、・GPT-6 Astra:約7.5ドル
・Claude Fable 5:約22ドル… pic.twitter.com/iGtXvvcIBb
米国の最先端AIや、それを支える巨額投資は、実はコストパフォーマンスが悪く割高なのではないかという疑念を市場に植え付けるという意味では、米国テック株の下落ショックを誘発する強力なトリガーになるのでは、というわけですね。中国AIの脅威というのは度々取り上げられAI半導体市場のガス抜きのような下落をもたらしてきましたが、今回も多少影響があるでしょうか?
S&P500 はまだ高値圏にありますが、週末VIX指数が跳ねました。
S&P500VIX指数週明けVIXが続伸するようだと大きな調整が入るかもしれません。
日経平均先物は夜間取引で63000円台まで下げています。金曜東証大引けでは65000円台でしたが・・・
日経平均と日経平均先物夜間取引原油続伸、エネルギー高でも金利低下、ドル安
16日、サウジ東部のジュベイル沖でタンカー2隻が被弾したとUKMTOが報告しています。被害がホルムズ海峡の外、サウジ沿岸に及んだことが嫌気され原油がさらに上昇しています。週末も良くない報道が相次いでいます。17日には革命防衛隊が「スーパータンカーが機雷に触れ炎上した」と発表。18日には「各約200万バレルを積んだタンカー2隻が機雷に触れ炎上し、うち1隻は航行不能」との報道が。いずれもイラン側の発表で、船名・船籍や件数の重複の有無は確認されていませんが、イランは米中間選挙前に原油高を演出したいように見えますね。
WTI原油色付きのロウソク足、白黒がブレント原油原油高はインフレ警戒を強めますので金利高要因ですが、株式市場が軟調なため、資金は株から債券市場に動いているようです。先週末に向けて世界の金利は低下しています。米金利もご覧の低下。
米国債利回り米金利低下、リスク資産の逆流で通貨市場でもこれまでのドル一強の修正がはいっています。ドル安、他通貨高ですね。
通貨インデックス比較先週は日経平均が3000円を超える下落を記録するなど株式市場が大きく動いていますがドル円相場は驚くほど静かです。
ドル円ドル円にトレード妙味なし。財政不安などから金利が高止まりしたままのフランスですが、暴動が激化。
この暴動、どのように収めるのでしょうか。。。
ユーロからの資金シフトはスイスが選択されているようです。
主要国長期金利ユーロスイスの下落に注目でしょうか。
ユーロスイス今週の主な予定
今週(10/19〜23)はFRB高官がブラックアウト期間に入り、経済指標の大型イベントは少なめ。ヘッジファンド破綻の噂の真偽、コアウィーブ社債を巡る混乱などから米国株市場の下落が継続するか否か、という点が最大の注目ですが、本格化する米企業決算が重要かもしれません。
20日にGM(寄り前)とネットフリックス(引け後)が発表します。21日引け後にはメタ、テスラ、IBM、テキサス・インスツルメンツ、ラムリサーチが集中し。メタは2026年通期の設備投資計画を1,300億〜1,450億ドル(7月時点の通期計画)としており、この範囲が維持されるかどうかがAI関連投資の見方を左右します。
経済指標で最も重要なのは、23日8:30の日本の9月全国CPIです。市場予想は、総合が2.1%(前回1.9%)、生鮮食品除くが2.1%(前回1.7%)、生鮮食品・エネルギー除くが2.3%(前回1.9%)です。29〜30日の日銀会合を前に、伸びが加速しているかどうかがポイント。