ワインボトルの「コルク」にワインの成分を変える働きがあることが判明

サイエンス

ワインボトルの栓には主にコルクガシの樹皮から作られた「コルク」が使われます。このコルク栓には単に中身がこぼれないように瓶を密閉するだけでなく、ワインの成分を変化させる働きがあることがフランスの研究で明らかになりました。

Deciphering the mechanisms of oxygen transfer into a wine bottle | Science Advances

https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.aed3023

Experimental wine bottle tracks oxygen moving through the cork - Ars Technica

https://arstechnica.com/science/2026/06/experimental-wine-bottle-tracks-oxygen-moving-through-the-cork/ 空気が大量にボトルへ入り込むと、中にあるワインは風味を失い、褐色化し、飲みにくくなります。これはリンゴを切ったときに断面が褐色になるのと同じ過程で、酸素がアルコールやフェノール類と反応するためです。コルクにはボトルを密閉し、こうした現象を防ぐ役割があります。

ただ、コルクは完璧に空気の侵入を防いでいるわけではありません。先行研究では、コルクから空気中の酸素が非常にゆっくりと流入することで、渋いタンニンを和らげ、香りの複雑さを引き出し、ワインの熟成を促進することが明らかになっています。 この現象を詳しく追究するため、ブルゴーニュ大学の研究者らは「ミニチュアボトルシステム」と呼ばれる独自の実験装置を設計し、リアルタイムの酸素の動きを正確に測定しようと試みました。この装置はワインボトルを模倣した小型ガラス容器で、内部にはガスまたは一定量のワイン様溶液が充填されました。

研究チームは容器の半数に溶液を入れ、残り半数を空のままにし、異なる長さのコルクで密封して18カ月間熟成させました。その後、容器に取り付けたセンサーを研究チームが分析した結果、コルクを通じた酸素の移動には4つの段階があることが明らかになりました。 第1段階はボトルにコルクを装着してから15日間続きました。これは溶液の液相と気相との間で酸素の平衡化が起きた期間で、液相に溶けていた酸素が気相へと戻っていく様子が確認されました。 その後の第2段階では酸素が溶液へ入り込んでいく様子が確認されました。ただ、この酸素は外部から取り込まれたわけではなく、コルクに空いた微少な穴に含まれていた酸素がボトル内に拡散していたということです。 またこのとき、長いコルクで密封された容器の方がより多くの酸素を受け取っていたことも分かりました。これは大きなコルクほど内部に多くの酸素を含んでいたためです。

第3段階では、コルクが単なる栓ではなく溶液の「原料」となり始めました。コルクに溶液が触れていたサンプルでは、溶液が溶媒として働き、コルクに含まれたフェノール化合物を抽出し始めたとのこと。それらが溶液へ溶け出してコルクから放出された酸素と反応し、溶液中の酸素量が明らかに減少したそうです。 そして15カ月後、ミニチュアボトルは第4段階となる長期的な状態に入りました。この段階では、外部からの酸素がコルクを通じてゆっくりと継続的に浸透しました。ただ、30mmを超える長いコルクでは酸素移動速度が非常に低く、実験終了時の18カ月目で変化はほとんど確認されませんでした。

実験を指導したトーマス・カルボウィアク氏は「ワインは賞味期限のない非常に特殊な製品です。そこで問題になるのは『いつ飲むべきか』ということです。ワインが試飲に最適な状態のとき、どれだけの酸素を含んでいるべきかを知る必要があります。その情報があれば、特定期間にわたって適切な保存を実現するコルク栓を選び、ワインが最高の状態になる瞬間を正確に狙うことができるのです」と述べました。 なお、実験ではワインそのものを使用しなかったため、「味」は確認していないそうです。

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