「嘘つくな!」「不倫は不法行為だ」指摘相次ぐ山尾志桜里氏会見「石打ち刑みたい」の声も
国民民主党の山尾志桜里元衆院議員が参院選出馬を表明した10日の記者会見は平成29年に報じられた既婚男性との不倫疑惑に質問が集中した。山尾氏は疑惑を改めて否定した上で、相手家庭など関係者について「傷つけたりすることは避けたい」と疑惑への詳しい言及を避けた。フリーの記者らは「噓をつき続けるな!」「不倫は民法上の不法行為だ」と厳しい声を上げる。一方的に糾弾される状況に「石打ち刑みたいになっている」と思わず声を上げるベテラン記者もいた。
冒頭10問は不倫疑惑から
「相手方の奥さまが自ら命を絶たれているんですよ。国会議員として立候補する資格がおありか」
国民民主党から参院選出馬の会見で過去の私生活問題について質問される山尾志桜里氏=10日午後、国会内(松井英幸撮影)会見は23人の記者が計56回質問。冒頭10問連続で尋ねられたのが不倫疑惑だった。相手男性の妻は自ら命を絶った、とも報じられている。
山尾氏は、29年当時の記者対応について「一方的な説明だけをして質疑を受けなかった」と釈明した一方、「新しく言葉を紡ぐことはご容赦いただけたらと思う。いろいろな思いの人がいて、いろいろな立場がある。今何かを話せば、さまざまなご迷惑をおかけすることもある」と語った。
相手男性の妻が自死したとされることについては「事情を存じ上げません」と述べるにとどめた。
これに対しては厳しく指摘する声が相次ぐ。
「立候補する資格ない」
「奥さんを死に追いやったような方が優しい国づくりなんて、おかしい」
「山尾さんは不倫関係を否定した。噓をつき続けるのか。それとも不倫を認めるか。答えないと立候補する資格はない」
国民民主党から参院選出馬の会見に臨む山尾志桜里氏=10日午後、国会内(松井英幸撮影)こうした状況に、月刊ファクタ編集長の宮嶋巌氏は「再チャレンジすること自体勇気がいること。SNSの世界でつぶてを浴びるような石打の刑みたいなことになっている。このメディアの状況はちょっと違うのではないかと実は思っている」と漏らす場面もあった。
宮嶋氏は、出馬の決断が山尾氏の息子に悪影響が及ぶ可能性も伝えたが、山尾氏は「家族の支えがなければ正直決断できなかったと思う。やはりどうしても…」と15秒ほど言いよどみ、「社会を国政の現場からよりよいものにしていくために貢献したい。もう一回チャンスを与えてもらえるなら、そういう政治家になっていきたい」と語った。
「なぜ山尾姓を選んだのか」
会見は2時間を超え、新聞やテレビの記者は場を外し、主にフリー記者が残り、再び質問は不倫疑惑に集中する。
「不倫は民法上の不法行為です。そういう人物は国会議員にふさわしくない」
山尾氏は不倫の事実を否定しており、前提を無視したような質問に山尾氏も戸惑う。
「すいません。少し質問の意図が少しつかみにくいが…8年前に会見で申し上げたことは事実だ」
国政復帰に当たり山尾姓を選んだ理由もただされた。山尾姓は通称で山尾氏は令和3年に非議員になって以降、戸籍名の菅野を用いて活動してきた。
「なぜ、山尾姓を選んだのか。亡くなった方もいて遺族がいる。そういう方の思いは考えないのか。山尾姓を選ぶことはそういう関係者の思いを一番裏切る」
山尾氏は「政治家としてのキャリアは山尾姓にひもづいているのが主な原因だ」と述べたが、この記者は「遺族のことは考えず、それよりも自分の思いを優先させたと受け止める。そういうことですね」と主張。
山尾氏は「それは違うと思います。強い言い方に聞こえたら、すいません。どなたの思いを考えなかったとかそういうことではありません」と語った。
「人権外交で存在感発揮する国に」
2時間半に及んだ会見は私生活に関する質問が相次いだが、山尾氏が感情的になる場面はほとんどなく、スキャンダル追及にありがちな記者による不規則発言もなかった。
国民民主党から参院選出馬の会見を終えて退室する山尾志桜里氏=10日午後、国会内(松井英幸撮影)挙手する記者がいなくなったタイミングで会見は終わった。
山尾氏を巡っては衆院議員時代、憲法審査会で野党の立場から改憲議論を主導しようとしたほか、民主化を求める香港の人々らを支援したことで知られる。ここ数年、人権外交を巡る議連など国政活動の機運は高まってはいない。
山尾氏は、民主主義、人権、法の支配を念頭に「国際秩序が乱れていく中、ルールを守っていこうと勇気をもって訴えることができる国が減っている」と述べた上で、「人権外交で日本が存在感を発揮することは間違いなく日本のためになり、国民の命や財産を守ることになる。参院でそういう国づくりに汗をかかせてもらいたい」と語った。(奥原慎平)