運動意欲を高める方法 「マインドフルネス+ウォーキング」は効果が高い 働く人のストレスも軽減

 歩数を記録する活動量計の活用と、マインドフルネス トレーニングを支援するスマホアプリを組み合せた保健指導により、歩数を大幅に増やし、運動量を増やすことができるという研究を、英国のバース大学が発表した。

 マインドフルネスを日本語に訳すと、「気付くこと」「意識すること」という意味。(1) いまの瞬間の自分の気持ちや身体に注意を向け、(2) 偏見や願望、過去の経験や先入観などにとらわれず、出来事をありのままにみる、という2つの要素が重要になる。

 ストレス緩和やリラックスに役立つウォーキング、ヨガやストレッチ、瞑想などを実践することが、メンタルヘルスの改善に役立つという研究が発表されている。

 「多くの人は運動を習慣として行い、運動不足を解消する必要があることを理解していますが、それまで運動をしてこなかった人が生活を活動的に変えるのは簡単なことではありません」と、同大学心理学部の主任研究員であるマーシャ レムスカー氏は言う。

 「今回の研究で、歩数を記録する活動量計と、マインドフルネス トレーニングの組み合せは、たとえ短期間であっても運動意欲を高めるのに効果的で、長期的な効果をもたらす可能性もあることが示されました」としている。

「ウォーキング+マインドフルネス」により運動時間が増加 意欲も上昇

 研究グループは、運動不足の英国の18~65歳の成人109人を対象に、参加者全員に30日間にわたり、活動量計を用いて、1日 8,000歩を目指すよう指示した。さらに、参加者を2つのグループに分けは、半分にはスマホアプリを通じて、身体への意識、動き、運動に焦点を当てた短時間のマインドフルネス プログラムを提供した。

 その結果、両グループともに運動量は増加したが、マインドフルネス プログラムを提供したグループは、ウォーキングなどの中強度の運動を行う時間が週に平均して373分になり、提供しなかったグループの297分に比べて大幅に増えたことが分かった。

 さらに、マインドフルネス プログラムを提供したことで、運動を継続しようという意欲が強くなり、日常生活でより活動的であり続けようという気持ちが高まったことも示唆された。これは、行動変容を持続させるための心理的要因になるとしている。

 「運動指導にマインドフルネスを組み合せると、行動変容を持続させるためにより効果的であることが示されました。人々に行動を起こさせるために、内なる原動力を育むことを支援するのは重要です」と、レムスカー氏は述べている。

 研究グループは現在、マインドフルネス トレーニングをさらに効果的で実際的なものにする方法を模索しているとしている。

わずか10分間のマインドフルネスが働く人のストレスを軽減

 マインドフルネスは、働く人のストレスを軽減するためにも有用という別の研究を、英国のバース大学が発表している。

 短時間でも、「マインドフルネス」を毎日行うことが、健康を促進し、不安症やうつ病などのメンタルヘルス不調を予防するのに役立つという。

 たとえば、1日のなかで10分間、自分に注意を向けるための時間を確保し、深くゆっくりと呼吸をしながら集中力を高めることなどが、マインドフルネスの実践になる。

 研究グループは、平均年齢 が27歳の成人を対象に、専用のスマホアプリを使い、30日間のマインドフルネス教室に参加する人(マインドフルネス群)と、参加しない人(対照群)に分けて比較した。

 その結果、マインドフルネス群は対照群に比べて、▼うつ病のリスクが19.2%減少し、▼不安症のリスクが12.6%減少し、▼ウェルビーイングが6.9%改善し、▼健康に気を配る行動が6.5%増加した。

 「マインドフルネスのプラス効果は、30日後もほぼ維持されました。実践した人からは、気づき、自制心、忍耐力、喜び、感謝の気持ちなどが高まったという声がありました。睡眠の質が改善したという人もいます」と、同大学心理学部のマーシャ レムスカー氏は言う。

 「マインドフルネスは、短時間でも毎日実践するだけでメリットがあり、メンタルヘルスを高めるためのシンプルで強力なツールとなりえることが示されました。スマホアプリを使い、気軽に取り組めるという魅力もあります」としている。

Mindfulness and step tracking boosts motivation to exercise - new study (バース大学 2025年4月16日) Getting active through mindfulness: Randomised controlled trial of a digital mindfulness-based intervention promoting physical activity engagement and enjoyment (Mental Health and Physical Activity, 2025年3月) Just 10 minutes of mindfulness daily boosts wellbeing and fights depression (バース大学 2024年8月23日) Mindfulness improves psychological health and supports health behaviour cognitions: Evidence from a pragmatic RCT of a digital mindfulness-based intervention ( British Journal of Health Psychology 2024年8月21日)

[Terahata]


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保健指導を効果的に行うために、その時々の各種イベントを上手くとらえ、事前に情報収集や教材の準備を行うことが必要です。「保健指導2ヶ月先駆けカレンダー」では、各種イベントや啓発週間・記念デーを、2ヶ月前からご紹介していきます。

 冬の季節、 体調を崩す方が多く、献血者は減少する傾向があることから、新たに成人式を迎える「はたち」の若者を中心に、広く国民各層に献血に関する理解と協力を求めるとともに、特に成分献血、400mL献血の継続的な推進を図ることを目的に、毎年1月~2月に実施しています。

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 日本生活習慣病予防協会が制定。同協会が提唱する「一無二少三多」(いちむにしょうさんた)をより多くの人に実践してもらい健康長寿に役立ててもらうのが目的。「一無」は「禁煙」、「二少」は「少食と少酒」、「三多」は「多動(体を多く動かす)と多休(しっかり休養する)と多接(多くの人、事、物に接する生活)」のこと。

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 昭和25年から、学校給食による教育効果を促進する観点から、冬季休業と重ならない1月24日から1月30日までの1週間を「学校給食週間」としました。子供たちの食生活を取り巻く環境が大きく変化し、偏った栄養摂取、肥満傾向など、健康状態について懸念される点が多く見られる今日、学校給食は子供たちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けるために重要な役割を果たしています。

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 成年年齢は18歳に引き下げられましたが、20歳未満の者の飲酒は法律によって禁止されています。20歳未満の者はまだ成長過程にあり、飲酒は身体的、精神的に大きなリスクがあり、社会的にも大きな影響があるためです。20歳未満の者の飲酒を防ぐため、関係省庁では毎年4月を「20歳未満飲酒防止強調月間」と定め、PRポスターや各種媒体による広報啓発活動を行っています。

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 世界保健機関(WHO)では、4月7日を「世界保健デー」と定め、この日を中心に、世界的に取り組むべき健康課題について考えてもらうための啓発活動が行われます。

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  毎年4月24日から30日は世界予防接種週間です。世界予防接種週間は、世界中で多くの幼い命を守っているワクチンの重要性について再認識してもらうために設けられています。

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 厚生労働省では、子どもや家庭、子どもの健やかな成長について国民全体で考えることを目的、毎年5月5日の「こどもの日」から1週間を児童福祉週間と定め、児童福祉の理念の普及・啓発のための各種行事を行っています。平成29年度標語は「できること たくさんあるよ きみのてで」

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 毎年5月12日は、近代看護を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなみ「看護の日」に制定されています。そして、12日を含む週の日曜日から土曜日までが「看護週間」です。メインテーマは「看護の心をみんなの心に」。気軽に看護にふれていただける楽しい行事が、全国各地で行われます。なお、国際看護師協会では、5月12日を「国際看護師の日」に定めています。

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 日本高血圧学会と 日本高血圧協会は、第30回日本高血圧学会総会において、毎年5月17日を「高血圧の日」と制定しました。

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 日本脳卒中協会は、脳卒中に関する知識を広め、一般市民の脳卒中に関する理解を高めることを目的に、平成14年から毎年5月25日から31日を脳 卒中週間と定め、脳卒中に関する啓発活動を行っています。

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 「世界禁煙デー」は、たばこを吸わないことが一般的な社会習慣となるよう様々な対策を講ずるべきであるという世界保健機構(WHO)の決議により昭和63年に設けられ、平成元年からは5月31日と定められました。また、厚生労働省は平成4年から、毎年5月31日から6月6日までを「禁煙週間」と定めています。

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 ここ数年、日本における近年のHIV感染者・エイズ患者の新規報告数は、1,500人を超えています。HIV検査普及週間の期間中は、国や都道府県が主体となり、HIV/エイズに関する関心を高め、HIV検査の浸透・普及を図るためのキャンペーン活動等が行われます。

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 厚生労働省、都道府県及び(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターは、今年6月20日~7月19日までの1カ月間、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動を実施します。この運動は、国民一人一人の薬物乱用問題に関する認識を高めるため、正しい知識の普及、広報啓発を全国的に展開します。あわせて「国際麻薬乱用撲滅デー」(6月26日) の周知を図るために行うものです。

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 この週間は、歯と口の健康に関する正しい知識の普及啓発と、歯科疾患の予防に関する適切な習慣の定着を図り、早期発見及び早期治療等を徹底し歯の寿命を延ばし、国民の健康の保持増進に寄与することを目的としたものです。

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 厚生労働省では、毎年6月を「外国人労働者問題啓発月間」と定めています。外国人労働者の就労状況を見ると、派遣・請負の就労形態が多く雇用が不安定な状態にあったり、社会保険に未加入の人が多かったりと、雇用管理上の改善が早急に取り組むべき課題となっています。

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 全国安全週間は、昭和3年に初めて実施されて以来、「人命尊重」という崇高な基本理念の下、「産業界での自主的な労働災害防止活動を推進し、広く一般の安全意識の高揚と安全活動の定着を図ること」を目的に、一度も中断することなく続けられ、今年で90回目を迎えます。

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 厚生労働省、都道府県、日本赤十字社は、毎年7月を「愛の血液助け合い運動」月間として、全国各地で献血への理解と協力を呼びかけ、献血運動の推進を展開します。夏場は長期休暇などで、学校や企業などからの献血の協力者が得られにくく、献血者が減少傾向になる時期とされており、この期間を通じ若い世代を中心に広く献血への協力を呼びかけています。

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 厚生労働省では、食品衛生管理の徹底及び地方公共団体等におけるリスクコミュニケーションへの取組の充実等を図るため、8月の1か月間を「食品衛生月間」と定めています。

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 日本栄養士会は、2016年に「栄養の日(8月4日)」「栄養週間(8月1日〜8月7日)」を制定しました。栄養を学び、体感することをコンセプトに、食生活を考える日とすることが目的としています。

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 日本耳鼻咽喉科学会では、昭和36年以来毎年8月7日を「鼻の日」と制定して鼻疾患に対する啓発を行っています。鼻の病気には、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、嗅覚障害などがあります。花粉症などのアレルギー性鼻炎は、近年発症頻度が増加しています。

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 総務省の「平成28年社会生活基本調査」によると、平均の睡眠時間は7時間40分で、男性は7時間44分、女性は7時間35分、過去20年間の睡眠時間は男女共に減少傾向となっています。

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 老人の日(9/15)、老人週間は、国民の間に老人の福祉への関心と理解を深める、老人が自らの生活の向上に努める意欲を促す、という目的のために設けられました。高齢社会のもとでは、私たち一人ひとりが、世代間のかかわりを深め、社会全体で身近な問題として高齢になっても安心して暮らせる社会づくりに取り組まなければなりません。

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 生活習慣病の特性や運動・食事・禁煙など個人の生活習慣の改善の重要性についての国民一人一人の理解を深め、さらにその健康づくりの実践を促進するため、9月1日(日)~30日(月)まで1か月間を健康増進普及月間とし、食生活改善普及運動と連携して、種々の行事等を国や地方公共団体、関係団体、民間団体等が全国的に実施しています。

 厚生労働省では、9月24日~30日までを「結核予防週間」として、地方自治体や関係団体の御協力を得て、結核予防に関する普及啓発などを行っています。また、結核予防会では周知ポスターやパンフレットの作成配布、全国各地で街頭募金や無料結核検診、健康相談等を実施して、結核予防の取り組みを実施しています。

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 乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、それまで元気だった赤ちゃんが、事故や窒息ではなく眠っている間に突然死亡してしまう病気です。乳幼児突然死症候群(SIDS)発症リスクを低くするための育児習慣の啓発活動などが実施されます。

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 内閣府では、子ども・若者育成支援に関する国民運動の一層の充実や定着を図ることを目的として、毎年11月を「子ども・若者育成支援強調月間」と定め、関係省庁、地方公共団体及び関係団体とともに、諸事業、諸活動を集中的に実施しています。

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 全国糖尿病週間は、「世界糖尿病デー」の11月14日を含む一週間の中で、糖尿病に関する知識と理解を深め、その予防と早期発見・治療を促進するためのさまざまな啓発活動などが実施されます。

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 性の健康週間は、世界エイズデーの12月1日を最終日とする1週間の中で、公益財団法人 性の健康医学財団と国、地方自治体などが協力し、健全な性の維持・増進の重要性に対する国民の理解を深めるためのさまざまな広報・啓発活動を行う週間です。

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