午後3時のドルは143円前半へ上昇、財務省の国債発行見直し報道で円金利低下

 5月27日、午後3時のドル/円は、前日の東京市場午後5時の時点からドル高/円安の143円前半で推移している。写真は米ドル紙幣。2022年7月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

[東京 27日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日の東京市場午後5時の時点からドル高/円安の143円前半で推移している。午前は日銀の植田和男総裁の発言でドル売り/円買いが進んで約1カ月ぶり安値を付けたものの、午後に入ると財務省による国債発行計画見直しの報道を受けて日本の金利が低下し、ドル/円は午前の下落分を取り戻す上昇となった。

朝方は142円後半で推移していたドルは、午前9時前から下げ足を速め、仲値公示後に142.11円まで売られ、4月29日以来約1カ月ぶりの安値に下落。その後午後にかけて持ち直し、財務省による国債発行計画見直し報道を受けて日本の金利が低下すると、上昇幅を広げて一時143.43円まで買われた。

ロイターは27日、財務省が2025年度国債発行計画の年限構成を近く再検討すると報じた もっと見る 。これを受け、円債市場の金利低下圧力が強まり、ドル/円ではショートカバーが入ったことで午前の下落分が巻き戻されたとの見方が聞かれた。

三菱UFJ信託銀行の酒井基成・資金為替部マーケット営業課課長は、報道を受けてドル/円の上昇が加速し、前週23日の下落分の半分を取り戻したとする一方、持続的な上昇は見込めないとの見方を示した。

午前はドルが対人民元で売られ、ドル/円にも波及した側面があったため、「午後に入って人民元が下落してドルに買い戻しが入っていた」(国内銀のストラテジスト)との声もあった。

午前は日銀の植田和男総裁が金融研究所主催の「2025年国際コンファランス」であいさつし、先行きに関する日銀の中心的な見通しが実現していけば、経済・物価情勢の改善に応じて引き続き利上げしていくと語った もっと見る

植田総裁の発言について、SBIFXトレードの斎藤裕司エグゼクティブ・アドバイザーは、5月会合ではハト派色が強かったため、「5月の会合からの変化を感じ取りたい市場にとっては格好の円買い材料」だったとの見方を示した。「7月利上げの織り込みは進んでいないが、その可能性を視野に入れる必要があるかもしれない」(前述の国内銀のストラテジスト)との声も聞かれた。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab

関連記事: