大カプコン展で吉田沙保里vsリュウの激闘再び。カプコン創成期の資料から、リアルさにこだわる3DCG最新技術まで集う内覧会リポート
2025年3月20日(木・祝)〜6月22日(日)の期間、ゲームメーカー・カプコンの展覧会“大カプコン展―世界を魅了するゲームクリエイション”が、大阪中之島美術館にて行われる。
対戦格闘ゲームの歴史を築いてきた、『ストリートファイター』、社会現象を巻き起こしたハンティングアクション『モンスターハンター』、サバイバルホラーの金字塔『バイオハザード』など、数多くの魅力的なタイトルを生み出してきたカプコンの初の展覧会イベント。開発者たちによる歴代の企画書や原画、ゲームの世界を集約したグラフィックワーク、体験型コンテンツなど、多様な切り口でカプコンの世界に浸れる企画が用意されている。
3月19日にオープンに先駆けて記者内覧会が開催。会場内のコンテンツを一足先に体験できたのでその様子をお届けする。 入口をくぐり最初に目に入るのは、新作アニメーションで描かれたキャラクターパレード。『モンスターハンター』のリオレウスをはじめ、『バイオハザード』、『ロックマン』、『ブレス オブ ファイア』、『デビル メイ クライ』など数々の作品から人気キャラクターたちが行進していく。会場の入口からおよそ16メートルにわたる巨大アニメとのことだ。
パレードアニメを抜けると、これまでのカプコンの歴史を振り返る年表やメインアート、パッケージ、主要キャラの紹介エリアへ。なかには当時の実物ポスターや関連タイトルのフィギュア&小道具なども用意されていた。
宝塚歌劇の衣装も展示。『大逆転裁判』と『戦国BASARA』。
映画『逆転裁判』の小道具。DL6号事件の新聞記事、小学校時代の成歩堂たちの名札などが並ぶ。
ビデオゲーム黎明期、さまざまな制約や決まりがあるなかで、カプコンのゲームはどのように作られたのか。『ロックマン』シリーズを例としたドット絵技術をはじめ、『ストリートファイターII』は半透明表現の工夫、波動拳の新旧比較などを紹介している。
また、タブレットを使ったドット絵体験コーナーも設置。ガイドに沿って簡単に作れるので、知識がなくても安心である。完成したデザインはQRコードを読み取って保存できる。
カプコン流 効果音メイキング。ダルシムの伸びる腕はしならせた棒の音を加工したもの。
なかでも興味深かったのはフェイシャルトラッキングミラーだ。最新のキャラクター表情制作技術の一端であり、鏡を模したモニターの前に座ると、自身の表情と連動してキャラクターの表情もリアルタイムで変化する。選択できるラインアップは以下の通り。
- 『ストリートファイター6』:ルーク、ジュリ
- 『バイオハザード ヴィレッジ』:ドミトレスク、クリス
- 『モンスターハンターライズ』:オトモアイルー、ハンター
首を傾げたり、歯を食いしばるとキャラも同じような顔に。試しにふくれっ面をやってみたところ、ちゃんと対応した。精度がすごい……。
ほかにも、石膏像を使った春麗とダンテのプロジェクションマッピング紹介、実際に製作された服を使った3Dスキャンデータ作成、イヴェルカーナの脅威を表現した超立体図鑑(※)といった、3DCGの作り込みのこだわりが垣間見える。
※モンハン世界のフィールド模型に、プロジェクションマッピングとAR(拡張現実)を組み合わせた展示物。 映像技術を使った体験型コンテンツとして、“バイオハザード:新ウォークスルー体験”も見どころのひとつ。暗い通路の中を歩き、懐中電灯型のセンサーを壁面に向けるとゾンビが出現。まるで『バイオハザード』の世界を歩いているような体験が味わえる。
“バイオハザード:新ウォークスルー体験”イメージ画
紹介している写真は本取材で許可を取ったもの。撮影・録音は禁止されているので注意しよう。
会場内のボーナスステージにて特別映像“吉田沙保里vs.リュウ -私より強い奴に会いに行く-”が披露された。『スト6』のキャラ倒しかた講座でかつてリュウと闘った吉田沙保里さんの激闘がふたたび。波動拳を「テイ!」したり阿修羅閃空をしたりと見ごたえのある対戦がくり広げられる。大阪会場のみの展示となるのでぜひ見逃さないようにしよう。
いまではゲーム開発に欠かせない技術である、モーションキャプチャーの疑似体験コーナーも。特殊な機材なしでモーションアクター体験ができるもので、リュウ、ロックマン、成歩堂龍一の中から選び、自身の動きと合わせてキャラクターも動いてくれる。
今回はなるほどくんを選択。御剣の指示を聞きながら動き、最後はおなじみの「異議あり!」ポーズでフィニッシュ。
展示会のラストを飾るのは、伝説の企画書コーナー。『ロックマン』、『モンスターハンター』、『ストリートファイターII』といった有名タイトルだけでなく、カプコン創業の翌年に展開された『ソンソン』の企画書原本も展示されていた。作品が世に展開される前はどのように作られていったのか、緻密に書き込まれた当時の手書き資料が見られる。
『モンスターハンター』モンスターの挙動紹介やアイルーの原型と思われるもの。名前はネコゴブリン
カプコンの開発者インタビュー映像。現役クリエイター12名がカプコンらしさや自身が大事にしていることを語る。
『逆転裁判』と『ファイナルファイト』フォトスポット
- 展覧会名:大カプコン展 ―世界を魅了するゲームクリエイション
- 会期:2025年3月20日(木・祝)~6月22日(日)
- 会場:大阪中之島美術館 5階展示室(〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島4-3-1)
- 開場時間:10:00〜17:00(入場は16:30まで)
- 休館日:月曜日、5月7日(水) ※4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館
- 主催:大阪中之島美術館、読売新聞社
- 特別協力:カプコン
- 協賛:大和ハウス工業、非破壊検査、ミライト・ワン
- 本展公式サイト
- 公式Xアカウント:@DaiCapTen_Osaka
- お問い合わせ:06-4301-7285 (大阪市総合コールセンター、受付時間8:00~21:00、年中無休)