《参政党「神谷王国」潜入ルポ》明らかに素性がバレていたにもかかわらず、最後まで選挙ボランティアを完走できた謎

 野党が軒並み議席を減らした総選挙において、公示前の2議席から15議席へと躍進したのが「参政党」だ。昨年の参院選での“旋風”ほどの注目が集まったわけではないが、着実に、大きく議席を増やした。神谷宗幣代表率いる参政党はどのようにして支持基盤を固め、広げているのか。潜入取材のプロフェッショナルであるジャーナリスト・横田増生氏が5か月にわたって組織に潜り込んだ。

 今回の潜入取材で横田氏は、万全を期すために妻と何度目かの離婚と結婚をし、妻の姓を名乗り、田中増生となった(次回以降の潜入取材で使う可能性があるので姓は仮名とした)。そして、参政党に入党し、千葉第1支部に所属して、千葉1区で立候補した上田淳広候補の選挙に関わることになった。横田氏が内側から見た「神谷王国」の実像とは――。(文中敬称略)【シリーズ・第4回】

 選挙戦終盤には、街宣車に乗ってカラスもやった。カラスとは、ウグイス嬢に対し、男性がアナウンスをする場合に使う言葉である。

 昼食後の3時間にわたって、選挙区を街宣車で流し、上田敦広の名前を織り込み、短い選挙スローガンをマイクでアナウンスする役目だった。街宣車の前には、運転手と候補者が座り、後部座席に3人のウグイス、カラスが並び、候補者を交じえ順番にマイクを握る。

 アナウンスする内容は、シナリオとして車に積んである。

「皆さん、こんにちは。こちらは参政党です。参政党公認、千葉1区、衆議院議員候補上田敦広です」

「日本人ファースト、参政党、上田敦広」

「熱い上田、上田が変える、日本を変える」

 ――という調子で、流していく。手を振ってくれる人や車のクラクションで応援してくれる人を見つけると、「お手を振っての応援、ありがとうございます。上田敦広、頑張ってまいります」などと反応を拾っていく。

 そうやって12日間戦った結果はどうなったのか。

 小選挙区では自民党の門山宏哲が当選。中道の田嶋要が2位となり比例復活。3位が上田敦広で3万3000票を超えた。

 上田は2024年の初挑戦の衆議院選挙と比べ、得票数を倍以上に伸ばした。供託金の没収を免れただけではなく、得票率は14%を超え、予想を上回る健闘を果たした。

 トップとなった自民党候補との惜敗率で計算すると30%を超える。これは比例復活を果たした、工藤聖子(千葉4区)、中谷めぐ(千葉13区)と比べて5ポイント前後も上回っている。

 しかし、比例重複の名簿に載っていなかったため、惜しくも衆議院議員のバッジを手にすることはできなかった。

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