金鉱株指数、今年135%急騰-AI主導の半導体ブーム上回るペース

今年は人工知能(AI)をめぐる熱狂と半導体株の急騰が注目を集めたが、実際には金鉱株の方がより良い投資先となっている。

  MSCIが算出する世界の金鉱株指数は今年約135%急騰し、金価格の上昇に追随している。一方、世界の主要な半導体企業を対象とした指数は40%の上昇にとどまり、金鉱株のアウトパフォーマンスは過去最大の規模に達しつつある。

  この驚くほど大きな差は、今年の世界市場を特徴づける重要な力学を示している。投資家はAI関連銘柄の利益を追い求めるFOMO(乗り遅れることへの恐怖)に駆られる一方で、各国中銀が金を買い増す中で続く、切れ目ない金相場の上昇にも惹きつけられているのだ。

  ヴァン・エック・アソシエーツのクロスアセット投資ストラテジスト、アンナ・ウー氏は「金と金鉱株は、私の中期的な投資テーマの中でも最も強気の一つだ」と語る。金には安全資産としての魅力がある一方で、「金鉱株も利益率の拡大やバリュエーションの見直しから恩恵を受ける見通しだ」と指摘した。

  金そのものも今年45%超の急騰を見せ、過去最高値を次々と更新し、1979年以来の最高の年となる見通しだ。各国中銀の買い増しに加え、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ、脱ドル化の流れ、金に裏付けられた上場投資信託(ETF)への資金流入が支えとなっている。

  MSCIの金鉱株指数に含まれる大手銘柄のうち、ニューモントアグニコ・イーグル・マインズのニューヨーク上場株は、今年に入り2倍以上に上昇した。紫金鉱業の香港株は130%超上昇し、中国のAI代表株アリババ・グループを上回る上げ幅だ。

  バリュエーション上も、ハイテク分野と比べて貴金属セクターでははるかに懸念が少ない。MSCI金鉱株指数の予想PER(株価収益率)は13倍と、過去5年平均をやや下回る水準にある。対照的に半導体指数の予想PERは29倍と、5年平均を大きく上回っている。

  サクソマーケッツ(シンガポール)のチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は「金価格が垂直に近い上昇を遂げていても、利益の伸びが価格を上回っている鉱山株の倍率は割高感に乏しい。金が最高値圏付近にとどまれば、キャッシュフローの計算上、依然として高い利益率が見込める」との見方を示した。

原題:Gold Stocks Trounce AI-Driven Chip Rally With 135% Gain in 2025(抜粋)

— 取材協力 Aya Wagatsuma

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