ジョニー・アイブにディスられるRabbit r1、めげずに新UIをチラ見せ
ニッチだけど、ビッグネームに先行。
元Appleのチーフデザインオフィサー、ジョニー・アイブ氏と、OpenAIのサム・アルトマン氏が、AIを使ったガジェットを共同開発中であることを正式発表しました。
でも、アイブ氏のAIスタートアップ・io(OpenAIが65億ドル≒9400億円で買収)とOpenAIの中の人以外は、彼らのデバイスがどんなものでどんな仕組みなのかを知りません。さまざまな憶測やヒントはありますが、具体的なものは何も浮かんできていないのです。
確かなのは、アイブ氏が既存のHumaneの「Ai Pin」や「Rabbit r1」といったAIガジェットは「非常に出来が悪い」と評価したことです。
Humaneが去ってもウサギは健在
アイブ氏の評価は正当かもしれないし、そうじゃないかもしれません。Humaneは紆余曲折あって最後はHPに売却されてしまいましたが、Rabbit r1は(今のところ)まだ元気で、機能追加やソフトウェアの改善は順調な様子。
2024年4月のローンチ以降アップデートを次々と送り出していて、直近では刷新したUIをチラ見せしています。この新しいUIが、r1にとっての起爆剤となるかもしれません。
Rabbitは、カードベースのデザインを採用したr1の新UIらしきものをXにポストしました。それは、iPhoneのウォレットアプリを彷彿とさせるデザインです。カラフルで、この1年で追加してきた新機能の多くもより見やすくなっています。機能だけじゃなく、今まで以上に楽しさ重視な感じです。
the future looks bright pic.twitter.com/OgkJF8dXps
— rabbit inc. (@rabbit_hmi) May 22, 2025
AIへの楽しい入口として
Rabbitの創業者でCEOのジェシー・リュー氏はr1のローンチ直後、r1は「たまごっちっぽさとポケモン図鑑っぽさを兼ね備えたウォーキートーキー(トランシーバー)」を目指したのだと語っていました。たしかに今、その意図したものに近づいている気がします。
少し前にはr1とのやりとりをゲーム化する「r-cade」の仕掛けが追加され、ますますオモチャっぽくなりました。これは、r1を操作すると「ニンジン」がもらえてゲームがプレイでき、r1のウサギをカスタマイズするアイテムが手に入るという仕組みです。
このことで、r1はAIデバイスとはいえ、そんなにシリアスな存在でもないことがより明確になりました。
r1はスマホを絶滅させるなんて大それたことはしないし、コンピューターの使い方に革命を起こすこともありません。でも少なくとも、AIとかエージェント的アプリへの楽しい入口として機能してくれるんです。
価格のわりに非力なのは課題
ただ唯一ひっかかるとしたら、それは199ドル(約3万円)という価格かもしれません。HumaneのAI Pinみたいなサブスクリプション費用はかからないし、Amazonでも買えて手に入れやすいんですが、やっぱり3万円はオモチャとしては厳しいです。
今のところ、r1のハードウェアがより高速化される計画も発表されていませんが、新UIでソフトウェア的な動作改善とかがない限り、ハードウェア増強は必須だと思われます。
r1を使っていて一番イラッとするのは、反応がどんくさいことです。スクロールホイールを使うときやメニューシステムの中を移動しているとき、必要以上にもっさりしています。
これはホイールの物理的な性質によるものなのか、MediaTek Helio P35チップに4GBのRAMという中身の非力さによるものなのかは何とも言えませんが、とにかく新UIでもっと動作が滑らかになることを祈るばかりです。
スマホよりこっち、となる存在
r1のようなAIガジェットは絶対必要じゃないかもしれないし、ChatGPTやGeminiやPerplexityといったAIを使うにはスマホで十分ですが、モノとしての楽しさも大事です。
アイブ氏みたいなビッグネームに悪く言われてもめげずに小さなチームで頑張ってるのも好感を持てます。リュー氏は今もアイブ氏を「ヒーロー」と崇めていて、大企業でもスタートアップでも、競合は大歓迎だといいます。
音楽を作るのにスマホのMIDIアプリよりTeenage Engineeringの「Pocket Operator」を選んだり、スマホのカメラじゃなく「Polaroid Flip」みたいなインスタントカメラを手に取ったり、ってことがありますよね。それと同じように、r1みたいなガジェットのほうが心が動く、ってことがあると思うんです。