激しい暴力に部分的なヌード、北朝鮮の映画にみられる大きな変化

北朝鮮の映画産業に大きな変化、激しい暴力にお色気も

(CNN) 北朝鮮でこのほど公開された映画は、観客がこれまでに目にしたことのないものを映し出していた。生々しい暴力描写や部分的なヌード、自爆ベストを使った爆破計画は、厳しい統制下にある北朝鮮の映画産業に大きな変化をもたらしている。

北朝鮮の国家主義的なプロパガンダはここ最近、表現の様式を変えつつある。若い世代の関心を引きつけることを狙った大作映画が制作されているのだ。登場人物がポリ袋で窒息させられる場面もある。北朝鮮の映画では、これまで見られなかった生々しい暴力シーンだ。

国営テレビでは今月に入り、「対立の昼と夜」と題した映画が初めて放映された。物語の舞台は1990年代。金正恩(キムジョンウン)総書記の父の故・金正日(キムジョンイル)総書記を狙ったとされる実際の列車爆発事件を基に作られている。

米国人の映画制作者でツアーガイドのジャスティン・マーテルさんは「北朝鮮映画で、それをちゃんとしたストーリーラインとして捉えるのは非常に興味深く、間違いなく初めての試みだった」と語る。

マーテルさんは昨年、北朝鮮でこの作品を鑑賞し、主演女優とも面会したという。この作品は平壌国際映画祭で最優秀音響効果賞と最優秀男優賞を受賞した。

マーテルさんはさらに「部分的なヌードの場面もあり、これも北朝鮮映画ではこれまで見たことがなかった」と話す。

映画が公開されると、不倫や自爆ベストを描いた場面が北朝鮮の観客を魅了した。

物語は裏切りを中心に展開し、夫が自らの妻や祖国を裏切る姿も描かれる。

マーテルさんによれば、北朝鮮政府は近年、こうした新しい作品への関与を強め、より多くの資金を投入している。

北朝鮮が映画に強い関心を寄せてきた歴史は数十年に及ぶ。これは2016年のドキュメンタリー映画「将軍様、あなたのために映画を撮ります」で明らかになった。金正日氏は北朝鮮の映画産業を統括し、膨大な映画コレクションを所有していたことで知られる。ひそかに録音された音声の中で金正日氏は自身の映画をより洗練された韓国の映画と比較して批判し、当時の北朝鮮の映画は繰り返しが多く時代遅れだと不満を漏らした。

金正日氏は「なぜ彼らは、まるで家族に死者が出たかのように、すべてのシーンで泣いている人だけを撮影することにこだわるのか」とも語っていた。

世界水準の北朝鮮映画を作るという夢を実現するため、金正日氏はハリウッド映画さながらの手法を用いた。1978年、北朝鮮の工作員が韓国の人気女優チェ・ウニさんと、その元夫で映画監督のシン・サンオクさんを香港で拉致して平壌に連れ去ったのだ。

2人は金正日氏のために17本の映画を制作させられたが、金正日氏の発言をひそかに録音し、テープを国外に持ち出した。その後、86年に米国に亡命した。

北朝鮮の映画への執着は今日も続いている。金正恩氏はスタジオに対し、より大規模で大胆な作品制作を命じ、おなじみのメッセージを現代風にアレンジしている。それは、指導者への陰謀は破滅で終わるというものだ。

関連記事: