日経平均は連日の史上最高値:識者はこうみる

 8月13日、東京株式市場で日経平均は、前営業日比372円74銭高の4万3090円91銭と、続伸してスタートし、連日の史上最高値を更新。その後、上げ幅を拡大し、堅調な展開となっている。市場関係者に見方を聞いた。写真は12日、都内の株価ボードで撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 13日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は、前営業日比372円74銭高の4万3090円91銭と、続伸してスタートし、連日の史上最高値を更新。その後、上げ幅を拡大し、堅調な展開となっている。

市場関係者に見方を聞いた。

◎米利下げの織り込み次第で一段の上値余地

<ソニーフィナンシャルグループ シニアエコノミスト 宮嶋貴之氏>

7月の米消費者物価指数(CPI)を受けて、米国の9月利下げが濃厚となった。これからは利下げ幅が25ベーシスポイント(bp)か50bpかの議論に移るだろう。市場は50bpを完全に織り込んでいないため、日米とも株価にはまだ上値余地があるとみている。

きょうの日本株は米利下げ観測を好感する形で上昇しているが、このところの急騰には米相互関税が15%で収まったという安心感と、生成AI(人工知能)を巡る期待の再燃があるとみている。特に、トランプ米大統領のAIに対する政策の方向転換や底堅い決算を受けて、米エヌビディア(NVDA.O), opens new tabはじめ主力ハイテク銘柄に巻き返しの動きがみられる。生成AIへの期待は根強く、市場はいつブームが崩れるかといったリスクシナリオを描けていない。

日本株はこれまで日銀による利上げが意識され、PER(株価収益率)が相対的に低い水準で抑えられてきた。足元では利上げ観測がやや後退しているため、PERが切り上がってきたが、利上げの日銀、利下げの米連邦準備理事会(FRB)と日米で金融政策が真逆となっている以上、日本株はPERをガンガン切り上げて上昇していく展開にはなりづらいとみている。

◎上昇鈍る銘柄も、目先は米PPI動向など注視

<松井証券 シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎氏>

日本株は先月末から上昇が加速しているが、大きな背景としては日銀が利上げを見送ったことが影響しているのではないか。国内の物価動向と政策金利を踏まえると、日本の実質金利は極めて低く、株高を支えている。昨日の株価の動きを振り返っても、アジア市場の中では日本株の独歩高が目立っていた。加えて、米国の利下げ期待が維持されている点も支援材料となっている。

足元は踏み上げ相場的な値動きとなっているが、指数寄与度の大きいソフトバンクグループ(9984.T), opens new tabがきょうはマイナスに転じるなど、銘柄によってはある程度買いが一巡している動きもみられる。きょうが(株価の)天井になるほど弱いとはみていないが、個別では上昇ピッチが鈍っているものもあるので、株高のクライマックスが近い可能性もある。

目先は米卸売物価指数(PPI)の高止まりが示唆されたり、米連邦準備理事会(FRB)の人事を巡る不透明感が強まったりすると、ムードが一転して株価が下方向に振れやすくなるリスクもあるだろう。

◎持たざるリスク意識で下値は堅い

<三井住友トラスト・アセットマネジメント チーフストラテジスト 上野裕之氏>

日経平均、TOPIXともに6日続伸で連日の史上最高値更新となっており、さすがに行き過ぎ感がある。ただ、高値警戒感がありながらも、下値は堅く、意外と下がりにくいとみている。急ピッチで株価が上昇する中、海外の機関投資家を中心に「持たざるリスク」を警戒した買いを入れているからだ。

このところの株価上昇の背景は米利下げ期待のほか、相互関税の関税率に決着がついたこと、企業業績への過度な警戒感が後退したことなど、様々な材料が蓄積した結果であり、これといった明確な材料をもとに上昇しているわけではない。好材料が次々と終わりのないように現れる中、「押し目を待っていても押し目が来ない」状況となっており、運用成績を意識した機関投資家が断続的に買いを入れている結果とみている。

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