黒海で相次ぐロシアの商船攻撃、空と海からドローンで襲撃 「世界で最も危険な海域」に

黒海でドローン攻撃を受けた船舶の様子。この1カ月で同様の攻撃を受けた船は10隻を超える=13日/Bulgarian Interior Ministry/Handout/Reuters

(CNN) 黒海でロシアによる商船攻撃が相次いでいる。ロシアのドローンはここ数週間で少なくとも12隻の商船を攻撃し、イランでの戦争を上回る数の船員が死亡した。

ロシアの狙いは、ほぼすべてのウクライナ産穀物の輸出ルートとなっているウクライナの港湾を通じた貿易を封じることにある。だが、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のルーマニアやブルガリアの領海付近や、領海内で攻撃が起きるケースもある。

これに先立ちウクライナは数カ月にわたって、黒海や隣接するアゾフ海に面したロシアの港を利用する船舶を攻撃していた。ロシアの攻撃はこの1カ月でさらに激しさを増している。

海運や安全保障関係の情報筋によると、ロシアは海と空のドローンを組み合わせた攻撃も何度か実施した。一段と高速で迎撃が難しい新開発のジェット推進式ドローンや、移動中の目標を攻撃できるドローンも使い始めている。

船舶追跡サービスやルーマニア、ブルガリア両政府によると、このところの攻撃増加により合計で少なくとも30人の船員が死亡、もしくは行方不明になった。

直近では先週、ルーマニアの港に向かっていたコンテナ船が三つのドローンに襲われた。フランスの偵察機は、船に狙いを定めて接近する水上ドローンを撮影。その後の映像には、船が大きく傾き、沈没していく様子が映っていた。

攻撃を受けたとき、船はブルガリアの海岸からわずか25キロの位置にあった。

ウクライナのシビハ外相は、攻撃増加を受けて「黒海は民間船にとって危険な海域と化した」と指摘している。

ロシアは夏の間、オデーサをはじめとする黒海沿岸のウクライナの港へのミサイル、ドローン攻撃を強化した。政府統計によると、ウクライナの今年9月の小麦輸出量は109万トンと、1年前の205万トンからほぼ半減した。

ウクライナは対策として、ルーマニア国境を流れるドナウ川沿いの比較的小さな港に輸出ルートを切り替えようとしたが、ロシアのドローンはそこにも攻撃の手を伸ばした。

ルーマニアの領海に近い黒海でドローン攻撃を受けて転覆した船。動画から切り出された画像=23日/Romanian Ministry For Internal Affairs/AP

攻撃が急増し出したのは10月上旬だ。エジプトからルーマニアのスリナ港に向かっていたトルコ所有の船が、空と海からドローン攻撃を受けた。シリア人の乗員9人とエジプト人1人が死亡し、船は沈没した。

6日後には、夜間にブルガリア沖を航行していた船が攻撃を浴び、乗員11人が死亡した。犠牲者の大半はシリア人だった。

船員の権利向上に取り組むシリア人の活動家、モハマド・ハジュズ氏はCNNの取材に、最初の攻撃を受けた後、乗員が接近してくる無人水上艇を目撃したと振り返る。この無人艇はその後、船に衝突した。

救命ボートをすべて降ろしている余裕はなく、乗員らは海に飛び込んだ。

「乗員たちは互いに声を掛け合い、再び集まろうとした。しかし海は荒れ、水温も極めて低かったことから、やがて離れ離れになってしまった」(ハジュズ氏)

危険が高まる中でも、一部の海運会社は黒海での運航を続けている。

ドローン攻撃を受けた船から救助された船員がブルガリアの港に到着した=13日/Hristo Rusev/Getty Images

ハジュズ氏は「経済的に苦しい船員は、危険な海域での仕事を引き受けざるを得ない。追加報酬を提示されて応じるケースもある」と説明。「働き口が限られているため、こうした海域で働かざるを得ない人もいる」との見方を示す。

ルーマニアのツォイウ外相によると、15日にはさらに4隻の商船が攻撃対象になった。「ルーマニアの領海や排他的経済水域(EEZ)でも攻撃があり、8人が命を落とした」という。

黒海からドナウ川へ通じるスリナ運河の近くでは、ケミカルタンカー2隻が攻撃を受け、火災が発生した。

運航会社によると、ケミカルタンカーのうち1隻は三つのドローンによる攻撃を受け、乗船していたベナン国籍の6人とロシア国籍の1人が死亡した。

海運情報会社アンブリーのアナリストは、「ロシア軍はウクライナとの貿易に関係する船舶を攻撃しており、その攻撃は今やNATOに加盟する2カ国の(排他的経済水域の)内側に及んでいる」と指摘する。

「ルーマニアやブルガリアの周辺海域だからといって、もはや無条件に安全と扱うべきではない」。アンブリーはそう付け加え、ウクライナ産穀物の輸出に関わっていたとの理由で複数の船が狙われた可能性が高いと分析した。

ロシア製とされるドローンの残骸。前日にはブルガリア沖でロシアのものとみられるドローンが貨物船2隻を攻撃し、そのうち1隻が沈没、乗員11人が行方不明になった/Nikolay Dychinov/AFP/Getty Image

ロシア政府はすべての攻撃への関与を認めているわけではない。ただ、一部のケースではロシア国防省が標的となった船について、ウクライナ軍向けに「軍民両用の貨物」を運んでいたと主張した。

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