英伊日が推進するGCAP開発、7月中旬までに大型契約を締結する見込み

Defense Newsは1日「GCAP計画を推進する3ヶ国の産業コンソーシアム=Edgewingはファーンボロー国際航空ショー前に大型契約を獲得する見込みだ」「英国は国防投資計画の中で86億ポンドをGCAPに投資すると表明したが、本当に現金が得られるかは定かではない」と報じた。

参考:UK defense plan to unlock fresh GCAP contract before Farnborough Airshow

スターマー首相は30日「国防費150億ポンドの増額」と「今後4年間の主な投資先」を発表、英国は2026年~2029年の国防費として計2,980億ポンド=約64兆円を支出し、1年あたりの国防費も2029年までに年約800億ポンド=17.1兆円まで引き上げられ、GDP比に占める2029年の国防費は2.7%に達する見込みで、軍事インフラとしても活用できる分野(重要インフラの保護、ネットワークの防衛、民間防衛や回復力の確保、イノベーションの促進、防衛産業基盤など)への投資=1.5%を合わせると国防関連支出は4.2%になる。

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— Keir Starmer (@Keir_Starmer) June 30, 2026

今後4年間の主な投資先については「核抑止力強化のためドレッドノート級弾道ミサイル原潜、AUKUS級攻撃型原潜、新型核弾頭、F-35A×12機調達に640億ポンド」「GCAPに86億ポンド」「自律型無人システムに50億ポンド以上」「長距離攻撃兵器、低コスト巡航ミサイル、自爆型攻撃兵器、これを調達するための生産能力などに110億ポンド」などを挙げ、Defense Newsは1日「GCAP計画を推進する3ヶ国の産業コンソーシアム=Edgewingはファーンボロー国際航空ショー(7月20日)前に大型契約を獲得する見込みだ」と報じた。

“英国の国防投資計画が政治家と軍幹部の対立で大幅に遅延し、GCAP計画のパートナーらは「2035年配備」という目標が達成できるのか不安を募らせ、3ヶ国は4月「英国が長期的な資金調達方法を見つける時間を稼ぐため開発作業を3ヶ月間継続させる暫定的な契約=6億8600万ポンド」に署名し、この契約が期限切れを迎える6月30日に英国は国防投資計画を発表することで何とか面目を保つことが出来た”

出典:GOV UK

“英国のDefence Analysisで編集者を務めるフランシス・トゥサ氏は「国防投資計画の中で示されたGCAP計画への投資額は我々が予想してた額(60億ポンド)を上回っていたが、本当に現金が得られるかは定かではない」「イタリアは英国の遅延に苛立ちを見せ、日本はさらに強い不満を抱いていた。高市首相は6月のG7前に予定されていた訪英を取りやめ『代わりにフランスへ向かうと脅しをかけていた』と聞いている」と述べ、さらに「高市首相が訪英した際、スターマー首相は資金を確保するという確約書に署名した」と明かした”

“英国の次期首相と目されるアンディ・バーナム氏もGCAPにおける公約を堅持すると見られているが、トゥサ氏は「国防省は国防投資計画向けに280億ポンドを要求したが、実際に獲得したのは150億ポンドにとどまり、そのうち47億ポンドは今年度予算内から捻出する必要がある。さらに国防省は自ら107億ポンドの経費削減を実施しなければならない。英国が今回発表したGCAP向けの資金拠出によって当面、イタリアと日本からのプレッシャーを躱すことができるだろうが、依然として詰めるべき詳細は残されている」と指摘した”

出典:GOV UK

今後4年間の国防費増額分=150億ポンドのうち財源が確保されているのは103億ポンドのみで、残り47億ポンドの財源確保は後任政権に先送りしており、捻出した103億ポンドですら「巧妙かつ創造的な会計操作による捻出」と言われており、GCAPの研究・開発フェーズ1~2(概念評価、予備設計、本格開発)にかかる費用負担額は1ヶ国あたり186億ユーロと見積もられているため、英国は拠出済みの24億ポンドを加えても110億ポンド=127億ユーロまでしか確保されておらず、まだ50億ポンドほどの資金を捻出しなければならない。

トゥサ氏が「本当に現金が得られるかは定かではない」と指摘するのは国防投資計画は法的拘束力が伴う法律ではなく政策文書という位置づけで、実際の資金供給は議会で毎年審議される歳出法案に依存し、議員の一定数が「政治的にレームダック化したスターマー首相発表の国防投資計画は紙切れ同然だ」と見ている点、この計画を引き継ぐ可能性が高いバーナム氏について「発表前に国防投資計画の内容について説明を受けたが、国防費増額分=150億ポンドの資金が確保できないとは知らされていなかった」と報じている点なども加味すると「お世辞にも政策文書の内容を実行していく政治的支持が確保できているとは言い難い」となる。

出典:GlobalCombatAir

3ヶ国の中で最も確実な資金供給を約束しているのはイタリアで、議会が「2037年までの負担費用として88億ユーロの支出を認める」と承認したため、イタリアは法的に148億ユーロまでの拠出環境が整っている。要するに「国防投資計画の中で86億ポンドをGCAPに投資すると言及したからといって資金拠出が確定したわけでない」という意味で、スターマー首相から政権を引き継ぐバーナム氏が安定した政権運営に成功すれば「国防投資計画に基づく資金拠出の実行性」が高まり、逆に政権運営が不安定になれば「本当に資金を拠出できるのか」という懸念が生じる。

英国の資金拠出に関する約束がないまま6月末につなぎ契約が切れるよりマシな状況だが、GCAP開発作業は依然として資金供給面に不安が残る状況で、英国が国防投資計画の中で86億ポンドをGCAPに投資すると明記したのだから「86億ポンドは絶対に確保出来た」と安心するのは時期尚早かもしれない。

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※アイキャッチ画像の出典:Edgewing

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