Eクラスが売れなくなる!? クラスを超えた質感に驚いた メルセデスベンツ4代目Cクラス初試乗【ベストカーアーカイブス2014】
/ 試乗記
2014年1月初旬のデトロイトショーでワールドプレミアとなった、4代目となる新型メルセデスベンツCクラス。それからわずか2カ月後の3月、フランスのマルセイユでプレス向け試乗会が行われた。その試乗会に参加した自動車評論家、渡辺敏史が試乗記をお届けする!(本稿は「ベストカー」2014年4月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:渡辺敏史、石川真禧照、西川淳
【画像ギャラリー】Eクラスが売れなくなる!? クラスを超えた質感に驚いた メルセデスベンツ4代目Cクラス初試乗(15枚)EクラスとSクラスの後輪用プラットフォームを共用し、先代Cクラスに比べ全長は95mm長い4686mm、全幅は40mmワイドの1810mm、全高は1442mm。もう「小ベンツ」とは言わせない!?
メルセデスのコンパクトサルーンといえば、そのルーツは1982年に発表されたW201型190シリーズ。
当時プレミアムセグメントはBMW3シリーズの独壇場だったところに投入したそれが、メルセデスのビジネススキームを大きく変えたことは言うまでもない。
つまり、数的に限界はあれど単価の高い大型高級サルーンを屋台骨とするのではなく、複数の車種で一定の台数規模を築く今日のフルラインメーカーとしての流れは、190シリーズが決定づけたといっても過言ではないだろう。
その190シリーズは1993年の2代目から「Cクラス」と改名された。つまり新しいCクラスは190シリーズから数えて5代目となり、型式名称はそれを示すW205型に改められている。
先代のW204型は、初代Aクラスの横転疑惑や一部車種に発生したブレーキ・バイ・ワイヤの大規模リコールを受けて、再び品質を盤石なものにすることを第一義として開発された。
300台近くの試作車による試験走行の距離は延べ2500万km。
破格も破格の開発密度を経て投入されたそれは、初出時からはっきりと見て取れる隙のない仕上がりが印象的だった。
そこからさらにリファインが進んだW204型はすでに在庫限りの販売となっているが、少なくとも動的な印象では全面刷新の必要を感じないほどで、まさに完熟極まれりという印象だ。
日本には恐らく夏の声を聞く頃に入ってくることになるだろう、新型Cクラス。超えるべきW204型というハードルは非常に高い。果たしてその印象はいかなるものだったか。
新型Cクラスの技術的ハイライトは、どちらかといえばシャシー回りに寄っている。
フロントサスをマクファーソンストラットから4リンク式への変更。またエアサスペンションのエアマチックがオプションで用意されるのも特徴。「コンフォート」「エコ」「スポーツ」「スポーツ プラス」を選ぶことが可能
完全刷新されたボディ構造は現行SL以降、メルセデスのFR系アーキテクチャーでは標準となりつつあるアルミとスチールのハイブリッド構造で、アルミ材の使用率は約50%に及び、他セクションと合わせての軽量化はW204型の同級グレードとの比較で最大100kgに至るという。
いっぽうでボディサイズはコンパクトだったW204型比でひと回り大きくなり、全長は95mm増の4686mm、全幅は40mm増の1810mm、ホイールベースは80mm増の2840mmと、ディメンジョン的にはレクサスISのそれにほど近い。
ちなみにIS250の重量はベースモデルで1580kg。Cクラスは基本的に4気筒エンジンを搭載するとはいえ、日本の型式認定の計測値でも1500kgを切ることが予想される。
日本仕様に搭載されるエンジンは当初グレード別で2つが予定されている。
うち、C200はすでにAクラス系プラットフォームでも展開されている縦横両方のレイアウトが可能な最新世代の2L4気筒直噴ターボで、最高出力は184ps。C250はEクラスに搭載されている世界初の2L4気筒直噴リーンバーンターボで、最高出力は211psとなる。
日本市場に今年中に導入が予定されているのはガソリン仕様のC180(1.6L直4ターボ・156ps/25.5kgm)、C200(2L直4ターボ・184ps/30.6kgm)、C250(2L直4ターボ・211ps/35.7kgm)。ディーゼルターボ(C180、C200、C250の各ブルーテック)や4MATICの導入予定はあるものの、グレードは決まっていない
ほどなく1.6L・4気筒直噴ターボのC180や、3L・V6直噴ターボ&4マチックのC400(本国名称)も追加されることは確実とみられ、さらに来年以降はディーゼルやハイブリッドといったパワートレーンの導入も充分期待できそうだ。
またミッションも現状は7速ATの7Gトロニックプラスを搭載しているが、すでにメルセデスは9速ATの存在を公言しており、開発スケジュール的にはこのW205型にも搭載が予想される。
これらの技術をもって、モデルライフ中でも常に環境性能のアップデートを図ろうというのが彼らの目論見だ。