【謎】成田エクスプレスで見た看板「佐倉はおみその産地です」が不条理だったから市役所に聞いてみた結果 / ロックの日
やることがない電車の席。長い距離を移動する特急とか新幹線になると窓の外の景色も楽しみの1つと言えるだろう。街は遠く、晴れた空の下広がる田園地帯の解放感。浄化される~。
だが、成田エクスプレスに乗っていたところ、そんな車窓の景色に違和感を感じるものがあった。なんだあれは……?
・マジで何?
それは成田空港手前を走っていた時のこと。豆粒のようになった奥の町まで田園地帯が開けるなかなか壮大な眺めだ。そんな平野の中、ポツンとこちらに顔を向けて立っている看板がある。
何かを訴えているというのは、手書きっぽさがにじみ出る力強い文字の存在感から分かった。赤い看板に白文字で書かれたコントラストにも主張を感じる。しかし、文字がぎゅっと詰まっていることもあり、動く電車の車窓からだと読めそうで読めない。マジで何の看板なんだろう? 気になる……!
・内容を知ると感じる不条理さ
そこで即座にスマホを取り出し撮影。拡大してみたところ「佐倉はおみその産地です」と書かれていた。どうやら佐倉市のPRっぽい。成田エクスプレスの線路沿いで車窓に向いていることを考慮すると、乗客に向けたものと想定できる。だが、その仮説に基づいて考えた時、1つ不条理な点が浮かび上がる。
それはレイアウトだ。前述の通り、文字がぎゅっとしすぎていて成田エクスプレスの車窓からでは非常に解読しづらいのである。そう、乗客に向けてのメッセージっぽいのに、乗客は読めないのだ。
・疑惑
なんなら私は、解読できたことが嬉しくてXにポストしてしまったくらい……って、ハ! その時ある疑惑にぶち当たった。
ひょっとして、SNSにポストする行動までがこの看板の真の狙いなのではないだろうか? だとしたら、私は手のひらの上で踊らされていたことになる。市のPRとしては高度な戦略だ。見れば見るほど狙ってるのかどうか微妙な看板である点もウマイ。
・謎を追う
はたして、この不条理さは戦略なのか否か。気になったので、もう少し真相に迫ってみよう。市のPRということは、佐倉市の市役所に問い合わせたら看板の真意が分かるのではないだろうか。そこでダメ元で市役所に聞いてみることにした。送った質問の内容は以下の通り。
私「はじめまして。ロケットニュース24(http://rocketnews24.com)というウェブメディアで記者をやっている中澤星児と申します。私は普段、日常でのちょっと気になったことを調べたりして記事を作成しているんですが、先日、佐倉市で興味深い看板に出会い、できたら記事で紹介したいと思い問い合わせさせていただきました。
その看板は成田エクスプレスで佐倉を通りすぎた時に目にしたものです。線路を向いて立っていたので目がいったのですが、文字がギュッと書かれていて、結構なスピードで動いている中というのもあり、肉眼ではなんと書いてあるか読めませんでした。
そこでとっさに写真を撮って確認したところ、「佐倉はおみその産地です」と書かれていました。
撮影して初めて真相が分かった宝箱を開けたような感覚が嬉しくて、Xでつぶやいたのですが、その時にこう思いました。「ひょっとして、看板の設置者はこれを狙って、あえて読みにくくしているのでは?」と。
そこで看板の真意を知りたくご連絡差し上げました。この看板について何かご存知でしょうか?」
・回答が来た
返信が返ってくるかどうかは不明だ。そもそも、市役所だし住民でもない私の素朴な疑問について回答する義務もないと思う。むしろ、お忙しい中くだらないことを聞いて申し訳ない気持ちもありつつのトライだったのだが、なんとこの問い合わせに回答が。市役所からの返信は以下の通りであった。
佐倉市役所「お世話になります。佐倉市役所商工振興課の山口と申します。この度は佐倉市ホームページに標記の件でお問い合わせをいただき、誠にありがとうございます。
早速ですが、お問い合わせの「佐倉はおみその産地です」という看板は、佐倉市内の老舗味噌蔵、「株式会社ヤマニ味噌」さんの看板です。https://www.yamanimiso.jp/
中澤様がご覧になった看板のほか、京成佐倉駅などにも設置され、佐倉市民や周辺の住民には以前からなじみのある看板です。
ちなみにですが、味のある書体も含めて地元民には有名な看板なので、佐倉市で開催されているロックフェス「くさのねフェス」では、この看板へのオマージュとして、「佐倉はロックの産地です」というキャッチコピーを、ヤマニ味噌さんの承諾のもと、使っております。
https://kusanonefes.com/2024/(サイト中段の「クラウドファンディング目標達成!」の画像参照。ステッカーやのぼりとして使用)
これは、バンプオブチキンが佐倉市出身で、彼らを目標とするロックバンドも佐倉市から出ていることなどから、使っているキャッチコピーです。ネタのひとつにでもなれば幸いです」
・真相
市役所の返信の内容を読んだ結論から申し上げると、戦略は私の思い過ごしだったようだ。他の場所にも設置されているものということは、少なくともピンポイントで成田エクスプレスの乗客を狙ったデザインではないだろう。
また、市のPRではなく味噌の方のPRだったのは意外だった。確かに、撮った写真をよく見ると、文字の下に「ヤマニ味噌」と書かれてあるようにも見える。ブレてる上に草が邪魔で写真上でもハッキリとは判別できないが。
それにしても、看板の回答からいつの間にかBUMP OF CHICKENの故郷という話になっているところは、広報としてなかなかの腕っぷしの強さを感じる。調べたところ、『Small world』のMVは佐倉市で撮影されていてファンにとっては聖地となっているようだ。
『天体観測』の心象風景はここで生まれたのだろうか? どこかに藤原基央さんが望遠鏡を担いでいった踏切があるのかもしれない。
そんなわけで、素朴な疑問を追い駆けたらバンプの故郷にたどり着いてしまった今回の記事。ちょうど本日6月9日はロックの日なので、ネタのひとつにさせていただきます。ありがとうございました!
参考リンク:佐倉市、ヤマニ味噌 執筆:中澤星児 Photo:Rocketnews24.
▼佐倉市はこんな街のようだ
▼『Small world』のロケ地
【BUMP OF CHICKEN「Small world」】ボーカル・ギターの藤原基央さんが故郷の佐倉市内で撮影を行いました!●撮影場所トウズJR佐倉店、トウズ京成佐倉店、臼井ベルマートショッピングセンター、佐倉市民の森、ユーカリが丘南公園
▼YouTubehttps://t.co/RU2JhffjXn
— いいね!佐倉市【公式】 (@sakuracity_PR) November 8, 2021