「ガザの子どもを殺すドローン、税金で買うな」――日本企業に抗議、市民らが輸入撤退を要求(堀潤)

堀潤ジャーナリスト
Artivist 黒部睦(8bitNews)撮影

 イスラエル軍によるパレスチナ自治区への激しい空爆や地上作戦は熾烈さを増している。ガザでは19日にかけても130人以上の死者が出るなど、住民の犠牲は増えるばかり。

 国際社会からの非難の声が上がる一方で、ネタニヤフ首相は「ガザ地区全域を支配する。これがわれわれがやろうとしていることだ」とビデオ声明を公開した。

 そうした中、イスラエルの軍需企業エルビット・システムズ製の自爆型ドローン「SkyStriker(スカイストライカー)」が、ガザ地区での避難民に対する攻撃に使われたとして、日本の輸入代理店に対し、武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表の杉原浩司さんや市民らが抗議行動を行った。

8bitNewsより

 先月28日、東京都新宿区に本社を置く**日本エヤークラフトサプライ株式会社(NAS)**前に市民が集まり、「ガザの子どもを殺すドローンを、私たちの税金で購入するな」と声を上げた。市民らは、防衛省が実施する一般競争入札への応募の辞退と、イスラエル企業との全取引の中止、輸入業務からの撤退を求めた。

◆ガザで多くの子どもたちも犠牲に──SkyStrikerの実戦使用

 独立系メディア「Drop Site」の報道によれば、2025年4月、SkyStrikerがガザの避難民テントを含む市民地域への攻撃に少なくとも5回使用され、子ども14人を含む30人以上が殺害されたという。

 中でも、4月17日にガザ南部ハンユニスの避難民テントに自爆型ドローンが突入し、女性3人・子ども5人を含む少なくとも10人が死亡した。Drop Siteは「現場ではSkyStrikerの部品がはっきりと確認された」と伝えている。

◆税金が流れる構造、防衛省との契約が明らかに

 NASは、エルビット社製ドローンとみられる機種について、日本の防衛省と2024年1月25日付で1430万円の「小型攻撃用UAVⅢ型(固定翼型)」概念実証契約を締結していることが、防衛省の契約公表資料から判明している。

防衛装備庁資料より

 さらに同年12月には、「攻撃用UAV概念実証業務委託(その1)」として、NASと防衛省の間で2億7284万4000円の大型契約も締結されており、武器調達に関わる税金の使途が市民から厳しく問われている。

◆企業側は沈黙、市民は「歴史に名を刻む」と警告

 当日、NAS側の関係者は発言を控える姿勢を取った。市民側は、「沈黙を続ければ、企業として“ジェノサイド共犯”の名を歴史に刻むことになる」と強く非難。「これまでに署名やハガキを何度も送ってきた。今回が最後の警告だ」と訴え、役員会での議題化と正式な契約撤退の表明を求めた。

8bitNewsより

◆「もはや撤退以外の選択肢はない」

 抗議を主導した市民グループは、「これ以上の加担は許されない。子どもを殺す兵器の流通に、日本の企業と税金が関与することは絶対にあってはならない」として、すべてのイスラエル軍需企業との関係断絶を求めていく考えを示している

ジャーナリスト

NPO法人8bitNews代表理事/株式会社GARDEN代表。2001年NHK入局。「ニュースウォッチ9」リポーター、「Bizスポ」キャスター。2012年、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校で客員研究員。2013年、NHKを退局しNPO法人「8bitNews」代表に。2021年、株式会社「わたしをことばにする研究所」設立。現在、TOKYO MX「堀潤LIVE Junction」キャスター、ABEMA「AbemaPrime」コメンテーター。2019年4月より早稲田大学グローバル科学知融合研究所招聘研究員。2020年3月映画「わたしは分断を許さない」公開。

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