F126フリゲート中止の泥仕合が開幕、ダーメンは47億ユーロを請求する構え
ドイツ国防省は2年以上の建造遅延を理由にダーメンとのF126建造契約を解除したが、ダーメン側は「F126の契約解除には法的根拠が欠けている」と主張して47億ユーロ=約8,300億円を請求する構えで、ピストリウス国防相は「契約解除の根拠は出来の悪さであり関係者全員がそれを知っている」と述べた。
参考:Werft fordert 4,7 Milliarden Euro – Gauweiler wirft Pistorius Amtspflichtverletzung vor 参考:Werft fordert im Fregattenstreit 4,7 Milliarden Euro
ドイツ海軍の水上戦闘艦戦力は汎用フリゲートのF123×4隻、防空フリゲートのF124×3隻、低強度作戦向けのフリゲートのF125×4隻、汎用コルベットのK130×6隻で構成され、2020年にF123の後継艦としてDamenが提案したF126の建造が決まり、建造を2023年から開始し、1番艦の引き渡しが2028年に予定されていたのだが、設計を担当するDamenと建造を担当するドイツ国内の造船所との間で設計データの共有に問題が発生して2年以上も建造遅延を招いた。
出典:Bundeswehr
問題の原因に深入りすると話が長くなるので割愛するが、簡潔に言うと「ダーメンが設計に使用したソフトウェアに技術的問題が発生して解決の目処も立っていない」となり、ドイツは3つの選択肢「ダーメン主導のF126建造を継続するか」「この計画を放棄するか」「この計画をドイツ主導に再編するか」を検討し、ドイツ国防省は6月「海軍向けのF126調達(6隻)を中止する」「代わりにMEKO A-200 DEUを8隻調達する予定だ」と発表。
“国家やNATOの防衛にとって対潜能力は極めて重要な能力で、ドイツ海軍の能力を強化するためF126フリゲート6隻を調達する予定だった。しかし、請負企業として契約していたダーメン・シェルデ海軍造船所(DSNS/現在はDamen Naval)は合意されたスケジュールおよび資金面の条件を遵守できなかった。国防省は請負企業をNaval Vessels Lürssen(NVL)に変更することで計画の維持が可能かどうか検討したが否定的な結果に終わった。国防省はF126の代替としてMEKO A-200 DEUを8隻調達する予定だ”
出典:Damen
“予算委員会が承認すれば最初の4隻は約63億ユーロ=約1.1兆円で調達できる見込みで、残りの4隻を調達するオプションは約53億ユーロ=約9,700億円で行使される可能性がある。逆にF126を6隻調達すれば約180億ユーロ=約3.3兆円の費用が発生すると予測された。さらに請負企業を変更すると連邦政府は契約上、最初の請負企業=DSNSに対する損害賠償請求権を放棄しなければならず、これは責任を持って予算を運用するという理念に反する”
この件についてhartpunktは「F126の調達コストは100億ユーロかかると見積もられていたが、請負企業をDSNSからNVLに変更して契約を締結し直すと約152億ユーロになり、当初契約に基づいてDSNSに提供された資金まで合わせるとF126の調達コストは180億ユーロ以上になる。さらに請負企業を変更するとDSNSに対する損害賠償請求権を放棄しなければならず、これは責任を持って予算を運用するという国防省の理念に反すると言及している」「契約上の義務を履行しなかったDSNSに損害賠償請求の可能性を検討しているという意味だ」と報じた。
出典:TKMS
つまりDSNSは今後大きな訴訟を抱え込むことになる可能性が高いという意味だが、複数のドイツメディアは「ダーメンの弁護団はドイツ国防省を契約不履行で47億ユーロの請求する構えだ」「弁護団は『メディアを巧みに利用したF126の契約解除には法的根拠が欠けている』と指摘した」と報じ、ピストリウス国防相はダーメン側の訴えについて「契約解除の決定打はダーメンが要求した受け入れがたい条件(あらゆる損害賠償請求に対する免責要求)が原因だった」「今回の動きは今後の展開を見越した先制攻撃だ」「ダーメンは支払い済みの23億ユーロについて損害賠償を請求される可能性があることを認識している証拠だ」と述べている。
ダーメン側は「計画が遅延していたにも関わらず、2024年6月に契約オプションを行使してF126を2隻追加発注していた」「したがって、今回の契約解除は予想外の決定で純粋な政治的動機によるものだ」と主張しており、ドイツ国防省とダーメンの泥仕合は法廷闘争へと発展するのは確実で、どちらにしてもダーメンの言い分は苦しく「契約オプションを行使していたので契約解除は予想外の決定」という主張が法廷でどこまで通用するのかが見ものだ。
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※アイキャッチ画像の出典:Damen