メキシコ上空の【謎の発光現象】を宇宙飛行士がISSから激写!30年以上解明されない「スプライト」とは(スペースチャンネル)
2025年7月3日、国際宇宙ステーション(ISS)から驚くべき写真が撮影されました。NASAの宇宙飛行士ニコル・エアーズ氏が、北米上空の雷雲から宇宙へと立ち上る「スプライト」と呼ばれる謎の赤い発光現象を撮影したのです。その姿は、まるで空に浮かぶ巨大な“クラゲ”のよう。
ISSから見えた「赤い閃光」
宇宙から見たスプライト現象 出典:NASA/ISS/Nichole Ayersこの写真は、エアーズ氏がISSからメキシコやアメリカ南部(カリフォルニア州やテキサス州上空)を通過していた際に撮影されたもので、目撃されたのは雷雲の上空およそ80kmという成層圏の高み。
エアーズ氏は自身のSNS「X(旧Twitter)」で次のようにコメントしています。
「言葉も出ません。今朝、メキシコとアメリカ上空を通過していたときに、このスプライトを捉えました。これは“TLE(Transient Luminous Event:一過性発光現象)”と呼ばれ、雷によって誘発される上空の発光現象です。」
そもそもスプライトとは?
高度によって異なる発光現象 出典:Abestrobiスプライトは、雷雨の発生時に雷雲の上空で発生する放電現象で、赤やオレンジ色に光るのが特徴です。構造は複雑で、「クラゲ型」や「ニンジン型」と形容されることもあり、雷の上に枝分かれするように光が広がる様子が観測されます。
NASAによれば、スプライトの赤い色は、高層大気中の窒素分子との相互作用によるものです。サイズは数十kmに及ぶこともあり、時には成層圏の最上部にまで達します。
この現象は航空機の乗客などにより1950年代から目撃報告があったものの、初めて写真に収められたのは1989年と比較的最近。さらに、木星や土星、金星などの他の惑星でもスプライトらしき現象が観測されており、地球だけのものではない可能性も浮上しています。
なぜ発生するのか? いまだ解明されぬ謎
1994年に撮影されたスプライトの初のカラー画像 出典:EastviewTLE(スプライトやブルージェット、ELVESなどを含む)は発見されてから30年以上が経過しますが、発生メカニズムは未だ完全には解明されていません。特に、「なぜ特定の雷だけがスプライトを引き起こすのか」は、大きな謎のままです。
そのため、ISSのように地球を周回する宇宙飛行士たちの視点は、スプライト研究において非常に貴重な情報源とされています。地上からでは見えにくい雷雲の上空を直接観測できるからです。
エアーズ氏も「私たちは雲の上から見ているので、こうした写真はスプライトの形成過程や雷との関係性を理解する手助けになる」と述べています。
2024年6月にも、ニューオーリンズ上空で「巨大ジェット」と呼ばれる雷が宇宙へ向かって噴き上がる現象の末端に赤いスプライトが現れる様子がISSから撮影されており、近年こうした観測が続いています。
今回のクラゲ型スプライトの撮影も、TLE研究の一助となるだけでなく、地球の気象や電磁環境の理解を深める貴重な資料となるでしょう。
宇宙から見た稀有な「赤い雷」の光景は、科学的な意味に加え、自然の美しさと神秘を改めて私たちに感じさせてくれるものとなりました。皆さんはスプライトの正体は何だと思いますか?ぜひコメントお待ちしています。
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