食事でビタミンDとカルシウムをとると糖尿病リスクは減少 ビタミンD不足を簡単に知る方法

 糖尿病リスクを減らすために、ビタミンDやカルシウムは有用という研究が、日本で発表されている。研究成果は、欧州糖尿病学会の「Diabetologia」に発表された。

 食事のカルシウムやビタミンDの摂取量が多い人は、糖尿病のリスクが低いことが、日本で実施されている多目的コホート研究である「JPHC研究」で明らかになっている。

 国立国際医療センター(当時)などの研究グループは、40~59歳の男女5万9,796人を対象に5年間追跡して、食事と2型糖尿病の発症の関連を調査した。

 その結果、ビタミンDを十分にとれていて、カルシウムの摂取量も多いと、糖尿病リスクが男性で38%、女性で41%、それぞれ減少することが示された。

 さらに女性では、牛乳やヨーグルトなどの乳製品の摂取量が多いと糖尿病リスクが30%低くなることなども示された。

ビタミンDとカルシウムをとれていると相乗効果が

 研究者は、さらなる調査が必要としながらも、「カルシウムとビタミンDは、2型糖尿病のリスクと独立しては関連していないかもしれないが、2つの栄養素をとれていると相乗効果を発揮する可能性がある」と述べている。やはりバランスの良い食事は大切だ。

 カルシウムやビタミンDの摂取量と糖尿病との関連について、詳しいメカニズムは分かっていないが、ビタミンDが膵臓のβ細胞に作用してインスリン分泌に関与している可能性や、カルシウムは細胞内のインスリンのシグナル伝達に関与している可能性を指摘している。

 これらが不足すると、血糖値を下げるインスリンに対する感受性が低下するという報告もあるという。

食事でビタミンDが不足している人が多い

 カルシウムとビタミンDは、健康な骨をつくり維持し、骨粗鬆症のリスクを軽減するために必要だが、多くの人はビタミンDが足りていない。たとえば米国の成人の9割以上は、食品からのビタミンDの摂取量が推奨量を満たしていないという。

 米テンプル大学ヘルスシステムのサマンサ ソー氏によると、ビタミンDは、カルシウム吸収をサポートし、骨の成長を促す。また、女性の乳がん、心臓病、糖尿病、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などのリスクを減らすのに役立つ可能性がある。

 同大学によると、ビタミンDなどは一般的に、他のビタミンやミネラル、食物繊維などといっしょに摂取するのが良い。

 ビタミンDは、サバ・イワシ・サンマ・マグロ・ニシン・ブリ・サーモンなどの油の多い魚、シイタケ・キクラゲなどのキノコ類、卵、牛レバー、牛乳などの食品に含まれる。

日光を浴びるとビタミンDが生成 サプリメントは効果がある?

 ビタミンDは、肌を日光にさらすことでも、体内で生成される。ほとんどの人は、少なくとも週2回、午前10時から午後4時の間に5〜30分間日光を浴びるだけで、十分な量を生成できるとしている。

 ビタミンDのサプリメントについては、骨粗鬆症のリスクを低減するのに役立つ可能性があるという報告はあるものの、心臓病、がん、2型糖尿病などの健康問題のリスク低減との明確な関連を示した研究はないという。

 ただし、食事からビタミンDを摂取するのが難しい人、肥満や消化器系疾患のある人、日光を浴びるのが難しい人は、医師などからビタミンDの服用が勧められることがある。

 血中ビタミンD濃度が異常に高くなると、高カルシウム血症などが起こるおそれもあるので、とりすぎにも注意が必要になる。かかりつけの医師や栄養士に相談することが大切だ。

簡単な質問に答えるだけでビタミンD不足が分かるビタミンD欠乏判定簡易質問票

 日本でも多くの人が、ビタミンDが不足しているという報告があり、とくに若年女性のあいだでビタミンDの不足・欠乏は深刻な問題になっている。

 そこで大阪公立大学は、ビタミンD欠乏リスクを判定するための、日本人のための新しい質問票を開発し公開している。

 研究グループは、ビタミンD欠乏の実態と要因を明らかにし、日本人のためのビタミンD欠乏リスクを判定する簡易質問票「VDDQ-J」(Vitaimn D Deficiency questionnaire for Japanese)を開発した。

 この質問票を使うと、年齢、性別、季節、運動習慣、日光を浴びる頻度、日焼け止めの使用、ビタミンDが豊富な魚などの摂取、ビタミンDサプリメントの使用などの、簡単な質問に答えるだけで、自身のビタミンD欠乏リスクが分かる。

質問票は、大阪公立大学 健康科学イノベーションセンターのサイトで公開されている。

 「ビタミンDが不足していると、知らないあいだに病気のリスクは高まります。自分の健康を意識することで、まずはご自身の、そして次世代の健康につなげていくことが大切です」と、研究者は述べている。

 同大学は、より若年女性に特化したスクリーニング票も開発した。「次世代の健康を守るためにも、個人、集団のビタミンD欠乏リスクを把握し、早期から改善に取り組むきっかけをつくるためのツールです」としている。

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