【運動が糖尿病リスクを減少】毎日のウォーキングが肥満やがんのリスクも低下 早歩きがおすすめ
ウォーキングを習慣として行っている人は、糖尿病リスクが少ないことが、日本人を対象とした調査で明らかになっている。
歩行時間の多い人は糖尿病リスクが少ないことが、日本で実施されている多目的コホート研究である「JPHC研究」で示された。
研究は、国立国際医療研究センターや国立がん研究センターなどによるもので、研究成果は「Journal of Epidemiology」に発表された。
平均年齢62歳の男女2万6,488人を対象とした調査では、糖尿病の有病率は、1日の歩行時間が30分未満の群では4.7%と高かったのに対し、2時間以上の群では3.8%と低かった。
糖尿病リスクは、1日の歩行時間が2時間以上の群に比べて、30分未満の群では1.23倍に上昇することが示された。
また、1万1,101人を対象とした縦断的な調査でも、糖尿病の5年間の発症率は、1日の歩行時間が2時間以上の群で4.6%だったのに対し、30分未満では7.0%と高かった。
ウォーキングはなるべく早歩きで 肥満や糖尿病のリスクが減少
余裕のある人は、なるべく早歩きのウォーキングを行うようにすると、さらに高い運動効果を期待できる。
歩行速度が速い人は、肥満や糖尿病のリスクが少ないことが、日本人を対象とした別の新しい調査で明らかになった。
研究は、同志社大学大学院スポーツ健康科学研究科の研究グループによるもので、研究成果は「Scientific Reports」に発表された。
研究グループは、京都府内の健診センターの人間ドックを受診した者のうち、BMI(体格指数)が25以上で肥満と判定された8,578人の男女と、ウエスト周囲径が男性で85cm以上、女性で90cm以上の9,626人を対象に調査した。
その結果、肥満があり「歩行速度が速い」と回答した人は、そうでない人に比べ、糖尿病のリスクが0.70倍、脂質異常症のリスクが0.97倍と低いことが分かった。
また、ウエスト周囲径にもとづき肥満と判定された人でも、「歩行速度が速い」ことは、高血圧のリスクが0.94倍、糖尿病のリスクが0.70倍、脂質異常症のリスクが0.96倍と低いことと関連していた。
歩行速度は、血圧や脈拍と並んで「第6のバイタルサイン」と言われている。これまでの研究でも、歩行速度が遅いことが、高齢者の中高年者の心血管疾患のリスクが高いことと関連することが報告されている。
「肥満のある人は、主観的歩行速度が速い場合に、代謝性疾患のリスクが低下することが示されました。肥満が引き起こす健康障害を早期に予防するために、運動や身体活動に取り組むことが勧められます」と、研究者は述べている。
研究は、英国国立衛生研究所およびオックスフォード大学のアライナ シュリーブス氏らによるもので、研究成果は「British Journal of Sports Medicine」に発表された。
研究グループは、英国で実施されている大規模研究であるUKバイオバンクに参加した、年齢の中央値が63歳の8万5,394人の男女を、平均して5.8年間追跡して調査した。
その結果、体を活発に動かすのを習慣にしていて、身体活動量が多い人は、もっとも少ない人に比べて、大腸がん、胃がん、肺がん、乳がんなどの13種類のがんの発症リスクが26%低いことが分かった。
1日の歩数が多いほど、がんリスクが減少する傾向も示された。1日に7,000歩を歩いている人は5,000歩の人に比べ11%、9,000歩を歩いている人は5,000歩の人に比べて16%、それぞれがんリスクは減少した。
「ウォーキングなどの軽度から中等度の強度の運動や身体活動を習慣として行うことで、がんの発症リスクが低下することが示されました。1日にわずか4,000歩、つまり約40分のウォーキングを行うだけでも、健康への大きな影響が長期的にあらわれます」と、研究者は述べている。
「部位別にみたがんのリスクと運動習慣との関連を知るために、さらに研究が必要ですが、多くの人に、座ったまま過ごす時間を減らして、体を動かす時間を増やすことが勧められます」としている。